東京都葛飾区における在宅寝たきり老人の歯科医療 第2報たんぽぽ歯科診療所における合併症に関する統計的観察

葛飾区歯科医師会の在宅寝たきり老人専用の歯科診療所 (たんぽぽ歯科診療所) 受診患者の全身的合併症とそれに対する安全管理, 診療期間中の経過を調査し, 高齢寝たきり患者の歯科治療における危険性を検討した。対象は平成2年2月から平成6年3月までの4年2ヵ月間に当施設を受診した患者319名である。患者の平均年齢は77歳, 最高100歳。術前合併症では脳血管障害が27%で最も多かった。治療中に発生した問題は, 高血圧を呈したもの8例, 不整脈のみられたもの7例, 気分不快を訴えたもの3例, 嘔吐したもの, 胸痛を訴えたもの, 帰宅後内科医の往診を指示したものが1例ずつあった。診療期間中および終了後に...

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Published in老年歯科医学 Vol. 9; no. 3; pp. 206 - 211
Main Authors 見崎, 徹, 臼井, 潔, 安斎, 平治, 京田, 直人, 高田, 耕司, 根岸, 哲夫, 金山, 利吉, 久保, 親弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 31.03.1995
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg1987.9.206

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Summary:葛飾区歯科医師会の在宅寝たきり老人専用の歯科診療所 (たんぽぽ歯科診療所) 受診患者の全身的合併症とそれに対する安全管理, 診療期間中の経過を調査し, 高齢寝たきり患者の歯科治療における危険性を検討した。対象は平成2年2月から平成6年3月までの4年2ヵ月間に当施設を受診した患者319名である。患者の平均年齢は77歳, 最高100歳。術前合併症では脳血管障害が27%で最も多かった。治療中に発生した問題は, 高血圧を呈したもの8例, 不整脈のみられたもの7例, 気分不快を訴えたもの3例, 嘔吐したもの, 胸痛を訴えたもの, 帰宅後内科医の往診を指示したものが1例ずつあった。診療期間中および終了後に全身状態の悪化により入院したものが38例, 死亡したものが45例あった。最終治療日から死亡するまでの期間が一ヵ月以内のものは15名おり, 最短は2日であった。今回の検索により, 対象としている患者が高いリスクを負っており, 見た目の状態や局所麻酔の必要性の有無に惑わされず可能な限り内科主治医からの情報を得たほうが良いということ, 診療を実施するにあたっては, このような事前の調査を十分に行ったうえでさらに専門医の全身管理の下に初めて観血処置を含めた歯科治療が可能であるということ, 内科医からの歯科治療に対しての注意の中では誤嚥に対してもっと注意を払うべきであること, などがあきらかとなった。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg1987.9.206