当院救急外来における消化管出血に対する緊急内視鏡の現状 吐・下血の色調と治療経過との関連
救急診療における消化管出血に対する対応では, 緊急内視鏡の適否が重要である。吐・下血症例での不応需症例の原因の多くは緊急内視鏡が実施できないことであり, これは当院においても同様である。緊急内視鏡の適応判断基準としてGlasgow Blatchford Score (GBS) 等が報告されているが, これらは来院後のHb, BUN等の検査所見も含まれ病院前で判断することは難しい。そして吐・下血を主訴とした症例でも緊急内視鏡は必要とせず, 待機的に観察を行い, その結果, 止血処置を要さない症例もある。今回, 吐・下血の色調を救急隊と共有し, 病院前評価と実際の病態・治療内容について検討した。対...
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Published in | 日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 300 - 305 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本救急医学会関東地方会
28.12.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0287-301X 2434-2580 |
DOI | 10.24697/jaamkanto.44.4_300 |
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Summary: | 救急診療における消化管出血に対する対応では, 緊急内視鏡の適否が重要である。吐・下血症例での不応需症例の原因の多くは緊急内視鏡が実施できないことであり, これは当院においても同様である。緊急内視鏡の適応判断基準としてGlasgow Blatchford Score (GBS) 等が報告されているが, これらは来院後のHb, BUN等の検査所見も含まれ病院前で判断することは難しい。そして吐・下血を主訴とした症例でも緊急内視鏡は必要とせず, 待機的に観察を行い, その結果, 止血処置を要さない症例もある。今回, 吐・下血の色調を救急隊と共有し, 病院前評価と実際の病態・治療内容について検討した。対象は2022年6月1日~2023年2月に吐・下血を主訴とし消化管出血の判断で緊急搬送された33例 (上部18例, 下部15例) である。上部消化管出血では緊急内視鏡を行ったものは12例 (66%) であるが, 観察時には活動性出血がないForrest II a, II b, III などの症例で, 活動性出血があり, 緊急止血処置を要したものはForrest I bの十二指腸潰瘍1例 (5.5%) であった。下部消化管出血では緊急止血症例はなく, 施行まで4~5時間要しており緊急内視鏡の適応は非常に限定的と考えられた。そして, 吐・下血の色調は非常に主観的で必ずしもその色調によって適応を決定するものではないことが示唆された。よって, 内視鏡適応を理由とする応需不可の大半は循環動態的に安定していれば収容可能であると考えられる。 |
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ISSN: | 0287-301X 2434-2580 |
DOI: | 10.24697/jaamkanto.44.4_300 |