シスプラチン腹腔内投与法における薬物吸収経路の解析 特に希釈溶液量の差異による影響について

シスプラチン (cisplatinum; CDDP) の腹腔内投与法における希釈溶液量による吸収経路への影響について犬を使用し実験的に検討した.実験方法はCDDP2mg/kgを希釈溶液量によってA群: 5頭 (生理食塩水100mlに希釈) , B群: 5頭 (生理食塩水200mlに希釈) の2群に分けた.CDDP腹腔内注入は16-gauge catheterからbolus投与した後, 門脈血, 末梢血ならびに肝組織内CDDP濃度を測定した.その結果, 1) A群の門脈皿Tota1, free-CDDP濃度はB群に比較して有意 (p<0.05) に高値を示した.2) A群の末梢血Total...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 57; no. 1; pp. 24 - 29
Main Authors 高, 用茂, 生田目, 公夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 28.02.1997
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Summary:シスプラチン (cisplatinum; CDDP) の腹腔内投与法における希釈溶液量による吸収経路への影響について犬を使用し実験的に検討した.実験方法はCDDP2mg/kgを希釈溶液量によってA群: 5頭 (生理食塩水100mlに希釈) , B群: 5頭 (生理食塩水200mlに希釈) の2群に分けた.CDDP腹腔内注入は16-gauge catheterからbolus投与した後, 門脈血, 末梢血ならびに肝組織内CDDP濃度を測定した.その結果, 1) A群の門脈皿Tota1, free-CDDP濃度はB群に比較して有意 (p<0.05) に高値を示した.2) A群の末梢血Total, free-CDDP濃度はB群よりも有意 (p<0.05) に低値であった.3) AUCからも1) , 2) の成績が裏付けられた.4) 肝組織内CDDP濃度は, A群で有意 (p<0.05) に高値を示した.以上の結果から, 高濃度CDDP腹腔内投与法は, CDDPを門脈系へと促進吸収させ標的臓器への有効な投与法であると考えられた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.57.24