重症くも膜下出血に対する超早期治療

「はじめに」くも膜下出血の治療成績が入院時の重症度と相関することはよく知られている13). 近年の治療法の進歩にもかかわらず重症くも膜下出血症例の予後は依然不良である. International Cooperative Study on the Timing of Aneurysm Surgeryによれば, 入院時にcomatoseであった患者の72.1%が死亡し, good recoveryは11.1%, moderately disabledは5.4%にすぎない13). 一般的に重症くも膜下出血に対しては, 大きな脳内血腫や硬膜下血腫を伴っている場合はただちに手術を行い, それ以外は臨床...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 35; no. 1; pp. 7 - 12
Main Authors 細田, 弘吉, 中村, 淑恵, 和田, 太郎, 木村, 英仁, 太田, 耕平, 甲村, 英二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2007
日本脳卒中の外科学会
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Summary:「はじめに」くも膜下出血の治療成績が入院時の重症度と相関することはよく知られている13). 近年の治療法の進歩にもかかわらず重症くも膜下出血症例の予後は依然不良である. International Cooperative Study on the Timing of Aneurysm Surgeryによれば, 入院時にcomatoseであった患者の72.1%が死亡し, good recoveryは11.1%, moderately disabledは5.4%にすぎない13). 一般的に重症くも膜下出血に対しては, 大きな脳内血腫や硬膜下血腫を伴っている場合はただちに手術を行い, それ以外は臨床的改善を示した症例を選択して手術する方針を採っている施設が多い9)23)31). しかし, 破裂脳動脈瘤の再出血は発症後早期に起こり, しかも, 重症例に多いということを考えると4), 再出血予防の観点からは重症例こそ血腫の有無にかかわらず早期に手術すべきとも考えられる. 当施設は, 救命救急センターという性格上, 重症くも膜下出血の患者が発症直後に直接搬入される頻度が高い. われわれは, 救命と治療成績の向上を目的として重症例(gradeIV-V)であっても超早期に治療を行うことを基本方針としてきた. 開院後1年8ヵ月での治療成績を報告する.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.35.7