倉橋惣三の保育論における教育と児童保護の統一の問題の展開 「幼稚園令」と施設一元化論を契機とした「実際的問題」の究明として

本論文は,倉橋惣三の保育論における教育と児童保護の統一の問題の展開を,1926年「幼稚園令」と自身の施設一元化論を契機とした「実際的問題」の究明として描く。倉橋は,幼稚園と託児所の全般を視野に入れた保育論の構築という課題,保育論における教育と保護の両側面の克服ないし結合という課題に,意識的に取り組んだ。一元的「保育」概念の構築を試みたが頓挫し,両側面から見た諸手段の「幼児の生活」の中への「按排」を方法とした。倉橋は両側面を結合する保育モデルの提示に成功した。これらは施設種ごとの目的や「職能」に基づいたものであり,倉橋は「幼稚園令」の下で一元的な保育論の構築に成功しなかった。...

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Published in保育学研究 Vol. 62; no. 1; pp. 115 - 126
Main Author 吉田, 昌弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本保育学会 31.08.2024
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ISSN1340-9808
2424-1679
DOI10.20617/reccej.62.1_115

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Summary:本論文は,倉橋惣三の保育論における教育と児童保護の統一の問題の展開を,1926年「幼稚園令」と自身の施設一元化論を契機とした「実際的問題」の究明として描く。倉橋は,幼稚園と託児所の全般を視野に入れた保育論の構築という課題,保育論における教育と保護の両側面の克服ないし結合という課題に,意識的に取り組んだ。一元的「保育」概念の構築を試みたが頓挫し,両側面から見た諸手段の「幼児の生活」の中への「按排」を方法とした。倉橋は両側面を結合する保育モデルの提示に成功した。これらは施設種ごとの目的や「職能」に基づいたものであり,倉橋は「幼稚園令」の下で一元的な保育論の構築に成功しなかった。
ISSN:1340-9808
2424-1679
DOI:10.20617/reccej.62.1_115