脂溶性N4及びN5大環状ポリアミンを感応素子とする陰イオン選択性液膜の電位応答挙動の比較

人工合成ホスト化合物である2種類の脂溶性大環状ポリアミン(C16H33-[16]aneN5:1,C16H33-[14]ancN4:2)を感応素子とした電位応答型の高分子支持液膜型陰イオン選択性電極を作製し,電荷の集中度が異なる一連のジカルボン酸ジ陰イオン類の異性体,又電荷の大きさの異なるATP4-,ADP3-,AMP2-に対する電位応答を測定した.いずれのシリーズのゲストに関しても,両電極による選択性の序列は同じで,二つの負電荷がより集中しているもの,あるいはより大きな負電荷を持つものに高い選択性を示した.電位変化の濃度依存性はホスト1を含む電極のほうがホスト2を含む電極よりも大きく,ネルンス...

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Published in分析化学 Vol. 39; no. 11; pp. 671 - 676
Main Authors 片岡, 正光, 小田嶋, 和徳, 小池, 透, 木村, 栄一, 長縄, 竜一, 梅澤, 喜夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.11.1990
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.39.11_671

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Summary:人工合成ホスト化合物である2種類の脂溶性大環状ポリアミン(C16H33-[16]aneN5:1,C16H33-[14]ancN4:2)を感応素子とした電位応答型の高分子支持液膜型陰イオン選択性電極を作製し,電荷の集中度が異なる一連のジカルボン酸ジ陰イオン類の異性体,又電荷の大きさの異なるATP4-,ADP3-,AMP2-に対する電位応答を測定した.いずれのシリーズのゲストに関しても,両電極による選択性の序列は同じで,二つの負電荷がより集中しているもの,あるいはより大きな負電荷を持つものに高い選択性を示した.電位変化の濃度依存性はホスト1を含む電極のほうがホスト2を含む電極よりも大きく,ネルンストの理論値に近い値を示した.これは,高い塩基性を示すホスト1は膜界面で2に比べてより多くのプロトンを取り込むことができ,その結果生じたホストポリ陽イオンはゲスト陰イオンとより強くホスト-ゲスト錯体を形成することができるためと考えられる.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.39.11_671