前下小脳動脈内耳道部動脈瘤の2治験例と文献的考察
前下小脳動脈(AICA)に発生する動脈瘤は全脳動脈瘤の1%以下といわれる9)13)15). さらにAICA遠位部に発生するものは0.03-0.5%と非常にまれであり4)7), その解剖学的位置関係より顔面神経, 聴神経障害を呈することが多いとされている. 今回われわれはくも膜下出血(SAH)で発症した内耳道部AICA動脈瘤の2症例を経験したので, 臨床像の特徴および治療の注意点につき文献的考察を加えて報告する. 症例〈症例1〉72歳, 女性. 主訴:回転性眩暈, 頭痛. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:2001年9月30日, 突然の回転性眩暈, 強い後頭部痛と嘔吐にて入院した. 入院時神...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 32; no. 1; pp. 61 - 65 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中の外科学会
2004
日本脳卒中の外科学会 |
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ISSN | 0914-5508 1880-4683 |
DOI | 10.2335/scs.32.61 |
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Summary: | 前下小脳動脈(AICA)に発生する動脈瘤は全脳動脈瘤の1%以下といわれる9)13)15). さらにAICA遠位部に発生するものは0.03-0.5%と非常にまれであり4)7), その解剖学的位置関係より顔面神経, 聴神経障害を呈することが多いとされている. 今回われわれはくも膜下出血(SAH)で発症した内耳道部AICA動脈瘤の2症例を経験したので, 臨床像の特徴および治療の注意点につき文献的考察を加えて報告する. 症例〈症例1〉72歳, 女性. 主訴:回転性眩暈, 頭痛. 既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:2001年9月30日, 突然の回転性眩暈, 強い後頭部痛と嘔吐にて入院した. 入院時神経学的所見, 放射線学的所見:意識レベルGCS=E4, V5, M5=14で中等度の頭痛と項部硬直, 右方への水平性眼振を認めた. 四肢の運動麻痺はなかった. 頭部CTで左小脳橋角部に強いSAHを認め, 出血は第4脳室へ穿破していた(Fig. 1A). |
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ISSN: | 0914-5508 1880-4683 |
DOI: | 10.2335/scs.32.61 |