多次元共感性尺度 (MES) の作成 自己指向・他者指向の弁別に焦点を当てて
本研究の目的は, 共感性の多次元的アプローチに従い, 他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度 (MES) を作成し, その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し, 質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果, 5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数, I-T相関係数, 再検査信頼性...
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Published in | 教育心理学研究 Vol. 56; no. 4; pp. 487 - 497 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本教育心理学会
30.12.2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5015 2186-3075 |
DOI | 10.5926/jjep1953.56.4_487 |
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Summary: | 本研究の目的は, 共感性の多次元的アプローチに従い, 他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度 (MES) を作成し, その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し, 質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果, 5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数, I-T相関係数, 再検査信頼性係数などの結果から信頼性を検討した。また, 既存の共感性尺度および共感性との関連が予想される概念を測定する尺度との相関から妥当性を検討した。今後, 自我発達との関連など認知・情動反応傾向の指向性を規定している要因の検討を進めることが, 共感性に関する応用研究において有益と考えられる。 |
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ISSN: | 0021-5015 2186-3075 |
DOI: | 10.5926/jjep1953.56.4_487 |