臨床倫理コンサルテーションにおける相談内容の分類 宮崎大学医学部附属病院臨床倫理部のクリニカルインディケータをもとに

本稿では、過去6 年間、当院で取り扱った臨床倫理コンサルテーション事例437件について、質的研究方法であるSCATの手法を参考に4ステップコーディングを行い、複数の事例に共通して現れたテーマ・構成概念に着目して、それらを「キーターム」と定義した。 その結果、「適応外医療207件」、「未承認薬の使用33件」、「治療方針の対立32件」、「身寄りのない患者の対応14件」、「治療の差し控え11件」、「医師へのメンタルサポート10件」、「治療の中止9件」、「家族への支援7件」、「個人情報の保護6件」、以上9項目のキータームが抽出された。病院機能評価機構解説集「評価の考え方」に基づいて作成された「7分類」...

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Published in生命倫理 Vol. 30; no. 1; pp. 40 - 49
Main Authors 綾部, 貴典, 板井, 孝壱郎, 三浦, 由佳里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生命倫理学会 26.09.2020
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ISSN1343-4063
2189-695X
DOI10.20593/jabedit.30.1_40

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Summary:本稿では、過去6 年間、当院で取り扱った臨床倫理コンサルテーション事例437件について、質的研究方法であるSCATの手法を参考に4ステップコーディングを行い、複数の事例に共通して現れたテーマ・構成概念に着目して、それらを「キーターム」と定義した。 その結果、「適応外医療207件」、「未承認薬の使用33件」、「治療方針の対立32件」、「身寄りのない患者の対応14件」、「治療の差し控え11件」、「医師へのメンタルサポート10件」、「治療の中止9件」、「家族への支援7件」、「個人情報の保護6件」、以上9項目のキータームが抽出された。病院機能評価機構解説集「評価の考え方」に基づいて作成された「7分類」が、倫理的問題に遭遇するであろうと想定された外形的な「場面」を設定している一方で、今回の「9つのキーターム」は、医療者の内面的なジレンマの一端を示していると考えられた。
ISSN:1343-4063
2189-695X
DOI:10.20593/jabedit.30.1_40