中学校数学授業における算数・数学の問題発見・解決の過程の具現化 「日常生活の事象の数学化」及び「活用・意味づけ」の過程の強調

本研究の目的は,中学校数学科において,算数・数学の問題発見・解決の過程を重視した授業を設計し,その実践を通して,生徒が遂行した数学的活動の具体的様相を特定すること,及び実践上の留意点を導出することである.授業設計にあたっては,【現実の世界】の部分を含む過程(A1→B→C→D1)に着目し,とりわけA1及びD1の過程をより強調した授業を設計した.授業設計の方法論として,社会的オープンエンドな問題を採用し,授業実践「先生にエアコンをお薦めしよう」を設計した.実践の結果,生徒は数学を用いて問題解決することに加え,社会的文脈をも考慮に入れた意思決定を行うことができた.本研究で得られた授業実践上の留意点と...

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Published in日本数学教育学会誌 Vol. 105; no. 3; pp. 2 - 14
Main Authors 圓岡, 悠, 服部, 裕一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本数学教育学会 01.03.2023
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Summary:本研究の目的は,中学校数学科において,算数・数学の問題発見・解決の過程を重視した授業を設計し,その実践を通して,生徒が遂行した数学的活動の具体的様相を特定すること,及び実践上の留意点を導出することである.授業設計にあたっては,【現実の世界】の部分を含む過程(A1→B→C→D1)に着目し,とりわけA1及びD1の過程をより強調した授業を設計した.授業設計の方法論として,社会的オープンエンドな問題を採用し,授業実践「先生にエアコンをお薦めしよう」を設計した.実践の結果,生徒は数学を用いて問題解決することに加え,社会的文脈をも考慮に入れた意思決定を行うことができた.本研究で得られた授業実践上の留意点として,「A1の過程では,教師によって意図的に,子どもたちに現実場面を十分に意識させること」,「D1の過程では,それぞれの生徒が提出した社会的・数学的な解答を1つの解答に収束させるのではなく,複数の解答を共有すること」,以上の2点が重要であることが示唆された.
ISSN:0021-471X
2434-8619
DOI:10.32296/jjsme.105.3_2