鼻出血症例の臨床的検討 腫瘍性疾患からの出血を中心に

今回われわれは東京郊外に位置する一施設において, 1年間で鼻出血を主訴に当科を受診した346例を対象として, 原因疾患やその対処法に対する臨床的検討を行った。原因別では86.4%が特発性鼻出血と最も多かったが, 他に小児性鼻出血 (年齢が15歳以下), 外傷性鼻出血, 鼻科手術術後出血, Osler病, 腫瘍性出血なども認められ, これらは治療方針が異なっていた。腫瘍性疾患からの出血は1.7%に認められたが, 鼻出血を初診とした症例の中で1.7%という割合は決して少なくない。 このため救急において鼻出血患者を診察する際にも腫瘍性疾患を念頭におき, 注意深く診察する必要があると思われる。深部鼻出...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 56; no. 1; pp. 14 - 19
Main Authors 飯村, 慈朗, 波多野, 篤, 重田, 泰史, 露無, 松里, 安藤, 裕史, 小森, 学, 荒井, 聡, 新井, 千昭, 鴻, 信義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.02.2013
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Summary:今回われわれは東京郊外に位置する一施設において, 1年間で鼻出血を主訴に当科を受診した346例を対象として, 原因疾患やその対処法に対する臨床的検討を行った。原因別では86.4%が特発性鼻出血と最も多かったが, 他に小児性鼻出血 (年齢が15歳以下), 外傷性鼻出血, 鼻科手術術後出血, Osler病, 腫瘍性出血なども認められ, これらは治療方針が異なっていた。腫瘍性疾患からの出血は1.7%に認められたが, 鼻出血を初診とした症例の中で1.7%という割合は決して少なくない。 このため救急において鼻出血患者を診察する際にも腫瘍性疾患を念頭におき, 注意深く診察する必要があると思われる。深部鼻出血に対する外来診療においては, 硬性内視鏡を使用し, もう一方の手で血液を吸引しながら出血点同定を心がけるべきである。その上で腫瘍性疾患が疑われる場合には積極的に画像検査・病理検査をするべきと考える。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.56.14