校歌が歌う地域と時代 東京都八王子市の市立小・中学校の事例

本稿では,小・中学校の校歌に表現される地域的特徴を明らかにすることを目的に,校歌の歌詞と学校の所在地域および校歌の制作年との関係を検討した。対象は東京都八王子市内に位置する公立の小・中学校であり,全104校分の校歌の歌詞と89校分の制作年を収集した。分析の結果,八王子市で特徴的にみられる語句(地域語)として富士,高尾,桑,浅川,多摩が抽出された。地域語が含まれる校歌の分布には地域差が認められ,対象物との近接性や関係性が強い地域で優位に出現する傾向がみられた。また,制作年による語句の出現率には弱い負の相関がみられることから,新しく制作された校歌ほど地域語が含まれない傾向も明らかとなった。本稿の結...

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Published in地理空間 Vol. 15; no. 2; pp. 119 - 129
Main Authors 坂本, 優紀, 濱, 泰一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 地理空間学会 20.12.2022
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Summary:本稿では,小・中学校の校歌に表現される地域的特徴を明らかにすることを目的に,校歌の歌詞と学校の所在地域および校歌の制作年との関係を検討した。対象は東京都八王子市内に位置する公立の小・中学校であり,全104校分の校歌の歌詞と89校分の制作年を収集した。分析の結果,八王子市で特徴的にみられる語句(地域語)として富士,高尾,桑,浅川,多摩が抽出された。地域語が含まれる校歌の分布には地域差が認められ,対象物との近接性や関係性が強い地域で優位に出現する傾向がみられた。また,制作年による語句の出現率には弱い負の相関がみられることから,新しく制作された校歌ほど地域語が含まれない傾向も明らかとなった。本稿の結果から,校歌の分析では学校の所在地域だけでなく制作された時代も考慮する必要があることが示された。
ISSN:1882-9872
2433-4715
DOI:10.24586/jags.15.2_119