NPO法人うめの森ヴァルドルフ子ども園における造形活動の特質 にじみ絵の実践に着目して

本研究は,幼児期のヴァルドルフ教育に関する研究の一環である。本稿は,幼児期のヴァルドルフ教育の理論的基盤とNPO法人うめの森ヴァルドルフ子ども園における教育実践を考察することによって,この子ども園における造形活動の特質を明らかにすることを目的とする。  まず,ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner, 1861~1925)の思想的基盤と,「サルトジェネシス」研究の観点から再解釈された最新のヴァルドルフ教育の教育指針を検討した。そして,NPO法人うめの森ヴァルドルフ子ども園における実地調査をもとに,特ににじみ絵の実践について考察を行った。考察の結果,この子ども園の造形活動の特質として...

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Published in美術教育学:美術科教育学会誌 Vol. 42; pp. 331 - 343
Main Author 吉田, 奈穂子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 美術科教育学会 2021
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Summary:本研究は,幼児期のヴァルドルフ教育に関する研究の一環である。本稿は,幼児期のヴァルドルフ教育の理論的基盤とNPO法人うめの森ヴァルドルフ子ども園における教育実践を考察することによって,この子ども園における造形活動の特質を明らかにすることを目的とする。  まず,ルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner, 1861~1925)の思想的基盤と,「サルトジェネシス」研究の観点から再解釈された最新のヴァルドルフ教育の教育指針を検討した。そして,NPO法人うめの森ヴァルドルフ子ども園における実地調査をもとに,特ににじみ絵の実践について考察を行った。考察の結果,この子ども園の造形活動の特質として,子どもの感覚のための物的環境や空間に対する教育的配慮,保育者の子どもに対する首尾一貫した接し方,繰り返しの要素をもつ造形活動の内容の3 つが明らかになった。以上のことから,学校教育の先取りとしてではなく,幼児期独自の姿にアプローチする幼児教育のあり方が示唆された。
ISSN:0917-771X
2424-2497
DOI:10.24455/aaej.42.0_331