項目反応理論モデルのパラメタ推定法の展開 Psychometrika誌を中心として
本稿では,項目反応理論モデルのパラメタ推定法について,Psychometrika誌に発表された論文を主たる対象として,最近の展開を概観した。その結果,項目因子分析モデルや多次元因子分析モデルといった,因子数が多い状況で生じる計算量の困難に対処する様々な方法が提案されていた。具体的には,モンテカルロ積分法や,周辺尤度の近似の積極的な利用,最適化計算の工夫および機械学習領域で用いられている方法の導入が見られた。また,理論的な拡張として,サンプルサイズ・項目数を無限大にするという新しい漸近的状況が考察されていた。さらに,最尤推定・ベイズ推定の枠にはとどまらない方法の提案もなされていた。個人の潜在特性...
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Published in | 日本テスト学会誌 Vol. 18; no. 1; pp. 103 - 131 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本テスト学会
2022
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-9618 2433-7447 |
DOI | 10.24690/jart.18.1_103 |
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Summary: | 本稿では,項目反応理論モデルのパラメタ推定法について,Psychometrika誌に発表された論文を主たる対象として,最近の展開を概観した。その結果,項目因子分析モデルや多次元因子分析モデルといった,因子数が多い状況で生じる計算量の困難に対処する様々な方法が提案されていた。具体的には,モンテカルロ積分法や,周辺尤度の近似の積極的な利用,最適化計算の工夫および機械学習領域で用いられている方法の導入が見られた。また,理論的な拡張として,サンプルサイズ・項目数を無限大にするという新しい漸近的状況が考察されていた。さらに,最尤推定・ベイズ推定の枠にはとどまらない方法の提案もなされていた。個人の潜在特性パラメタの推定に関しても,高い精度の信頼区間を保証する理論的な方法が提案されていた。 |
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ISSN: | 1880-9618 2433-7447 |
DOI: | 10.24690/jart.18.1_103 |