青年期における親密な友人への効果的な慰め テストの失敗場面に着目して

本研究の目的は,中学生,高校生,大学生を対象にした質問紙調査により,親密な友人間で生じるテスト失敗場面での効果的な慰めを明らかにすることである。調査対象者には,親しい友人から言語的慰め(励ましの言葉かけ),非言語的慰め(そばに寄り添う),何もせず離れる行動を受けた時の感情を評定してもらった。その結果,言語的・非言語的慰めを受けた時は,離れる行動を受けた時より,友人への感謝が高く,反発が低くなった。また,非言語的な慰めを受けた時は,自責や反発が最も低くなった。さらに,中学生は高校生や大学生より,閉鎖的関係希求(親密な友人とだけ一緒にいたい)が高く,相互尊重欲求(互いの考えを尊重したい)が低いため...

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Published in教育心理学研究 Vol. 66; no. 2; pp. 136 - 149
Main Author 小川, 翔大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 30.06.2018
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ISSN0021-5015
2186-3075
DOI10.5926/jjep.66.136

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Summary:本研究の目的は,中学生,高校生,大学生を対象にした質問紙調査により,親密な友人間で生じるテスト失敗場面での効果的な慰めを明らかにすることである。調査対象者には,親しい友人から言語的慰め(励ましの言葉かけ),非言語的慰め(そばに寄り添う),何もせず離れる行動を受けた時の感情を評定してもらった。その結果,言語的・非言語的慰めを受けた時は,離れる行動を受けた時より,友人への感謝が高く,反発が低くなった。また,非言語的な慰めを受けた時は,自責や反発が最も低くなった。さらに,中学生は高校生や大学生より,閉鎖的関係希求(親密な友人とだけ一緒にいたい)が高く,相互尊重欲求(互いの考えを尊重したい)が低いため,そばを離れる友人に対する反発が高くなった。したがって,テストの失敗で落ち込んだ友人には,何もできなくてもそばに寄り添うことが効果的な慰めであることが示唆された。
ISSN:0021-5015
2186-3075
DOI:10.5926/jjep.66.136