硫酸水素アンモニウム融解による難溶性酸化セリウム(IV)の迅速分解と分析への応用
難溶性の酸化セリウム(IV)の分解方法として,硫酸水素アンモニウム融解法を検討し,迅速簡便な方法を確立した.すなわち,硬質ガラス製試験管にセリウム化合物試料と硫酸水素アンモニウム約3gを入れて混合した後,バーナーの小さなフレームで350~450℃に加熱する.約数分から10分間の加熱で分解は十分であり,分解と同時に黄色のセリウム(IV)はセリウム(III)に還元され,融解物は無色になる.固化した白色の融解物を水で溶解し,溶液中のセリウム(III)を吸光光度法あるいは滴定法で定量する.本法を難溶性セリウム化合物であるチタン酸セリウム(IV)及びジルコニウム酸セリウム(IV)等の分解に応用し,試料中...
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Published in | 分析化学 Vol. 47; no. 8; pp. 491 - 495 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本分析化学会
05.08.1998
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ISSN | 0525-1931 |
DOI | 10.2116/bunsekikagaku.47.491 |
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Summary: | 難溶性の酸化セリウム(IV)の分解方法として,硫酸水素アンモニウム融解法を検討し,迅速簡便な方法を確立した.すなわち,硬質ガラス製試験管にセリウム化合物試料と硫酸水素アンモニウム約3gを入れて混合した後,バーナーの小さなフレームで350~450℃に加熱する.約数分から10分間の加熱で分解は十分であり,分解と同時に黄色のセリウム(IV)はセリウム(III)に還元され,融解物は無色になる.固化した白色の融解物を水で溶解し,溶液中のセリウム(III)を吸光光度法あるいは滴定法で定量する.本法を難溶性セリウム化合物であるチタン酸セリウム(IV)及びジルコニウム酸セリウム(IV)等の分解に応用し,試料中のセリウム,チタン及びジルコニウムを再現性良く正確に定量した.定量値は計算値と良く一致した.本法は試料の分解過程を目視で確認でき,容器の損傷がなく,高濃度のアルカリ金属を含まない試料溶液を容易に調製できるなどの特色がある. |
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ISSN: | 0525-1931 |
DOI: | 10.2116/bunsekikagaku.47.491 |