生体分子系のための定量的粗視化分子力場の開発

粗視化分子シミュレーションは,全原子シミュレーションでは到達できない時間および空間スケールの現象を解析するために有用なツールである.本稿では,生体分子系を対象に開発した粗視化分子力場について紹介する.粗視化分子力場の開発では,参照データとして全原子シミュレーションから取得したデータと実験データの両方を使用し,ボトムアップとトップダウンを組み合わせたアプローチを用いていた.完成した粗視化分子力場では,アミノ酸の膜透過自由エネルギーや膜表在タンパク質のアンカリング,膜貫通タンパクの二量化自由エネルギーなどの全原子シミュレーションによる計算値や実験値をよく再現することを確認し,膜タンパク系について定...

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Published inアンサンブル Vol. 26; no. 3; pp. 276 - 280
Main Author 宮崎 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 分子シミュレーション学会 31.07.2024
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ISSN1884-6750
1884-5088
DOI10.11436/mssj.26.276

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Summary:粗視化分子シミュレーションは,全原子シミュレーションでは到達できない時間および空間スケールの現象を解析するために有用なツールである.本稿では,生体分子系を対象に開発した粗視化分子力場について紹介する.粗視化分子力場の開発では,参照データとして全原子シミュレーションから取得したデータと実験データの両方を使用し,ボトムアップとトップダウンを組み合わせたアプローチを用いていた.完成した粗視化分子力場では,アミノ酸の膜透過自由エネルギーや膜表在タンパク質のアンカリング,膜貫通タンパクの二量化自由エネルギーなどの全原子シミュレーションによる計算値や実験値をよく再現することを確認し,膜タンパク系について定量的な解析が可能な粗視化分子力場の構築に成功した.
ISSN:1884-6750
1884-5088
DOI:10.11436/mssj.26.276