課題解決能力を育成するための学習指導方法の検討 家庭科教員養成課程初年次生における提案

2017年告示の中学校学習指導要領より, 家庭科では生活の中から課題を発見して解決する能力の育成が明示されるようになった. 自身の生活をよりよくできる教科である家庭科での課題発見の前提として, 生活の価値の多様性を認識し理解した上で, ウェルビーングを目指す主体的な態度が重要である. 本研究では, 家庭科教員養成課程の入門科目として, ①自らの五感を研ぎ澄まして生活の価値を見つけて表現し, ②他者の感性や価値観の多様性を学ぶ学習指導方法を考案した. 2016年に学習者22名を対象に, 学習者が生活の中にある楽しいことに向きあい, “いいな” を発見し, 何故よいのかという理由を考え, わかりや...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 73; no. 9; pp. 561 - 570
Main Authors 土肥, 麻佐子, 西村, 悟史, 福田, 賢一郎, 西村, 拓一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家政学会 2022
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Summary:2017年告示の中学校学習指導要領より, 家庭科では生活の中から課題を発見して解決する能力の育成が明示されるようになった. 自身の生活をよりよくできる教科である家庭科での課題発見の前提として, 生活の価値の多様性を認識し理解した上で, ウェルビーングを目指す主体的な態度が重要である. 本研究では, 家庭科教員養成課程の入門科目として, ①自らの五感を研ぎ澄まして生活の価値を見つけて表現し, ②他者の感性や価値観の多様性を学ぶ学習指導方法を考案した. 2016年に学習者22名を対象に, 学習者が生活の中にある楽しいことに向きあい, “いいな” を発見し, 何故よいのかという理由を考え, わかりやすく他者に伝え, 他者の好ましいことに耳を傾けて理解し, 生活の改善策を考えるサイクルを体験する考案授業を実施した. この結果, 学習者が互いに向き合うコミュニケーションが生まれ, 多様性を理解した上でウェルビーングを目指して主体的に考えるという行動が誘引されたことが, 学習者の自己評価により明らかになった.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej.73.561