モンモリロナイトの膨潤挙動に及ぼす層間対イオンの影響 分子動力学シミュレーションによる支配因子の評価

放射性廃棄物の処分システムにおいて,粘土鉱物を主体とするベントナイトの物理的・化学的挙動を予測するうえで,モンモリロナイトの膨潤現象を理解することは重要である.本論文では,モンモリロナイト層間の結晶膨潤挙動を支配する層間対イオンの特性因子について,分子動力学(molecular dynamics, MD)シミュレーションによって調査した.5種類の単一イオン型モンモリロナイト(Na型,K型,Cs型,Ca型,Sr型)の膨潤現象に関する分析試験の結果にMD計算で得られた情報を統合することにより,モンモリロナイト層間への水分子吸着量は,層間対イオンの水和数に強く依存していることが確認された.また,層間...

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Published in原子力バックエンド研究 Vol. 29; no. 2; pp. 63 - 81
Main Authors 河村, 雄行, 佐久間, 博, 四辻, 健治, 舘, 幸男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会 15.12.2022
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ISSN1884-7579
1884-7579
DOI10.3327/jnuce.29.2_63

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Summary:放射性廃棄物の処分システムにおいて,粘土鉱物を主体とするベントナイトの物理的・化学的挙動を予測するうえで,モンモリロナイトの膨潤現象を理解することは重要である.本論文では,モンモリロナイト層間の結晶膨潤挙動を支配する層間対イオンの特性因子について,分子動力学(molecular dynamics, MD)シミュレーションによって調査した.5種類の単一イオン型モンモリロナイト(Na型,K型,Cs型,Ca型,Sr型)の膨潤現象に関する分析試験の結果にMD計算で得られた情報を統合することにより,モンモリロナイト層間への水分子吸着量は,層間対イオンの水和数に強く依存していることが確認された.また,層間における対イオンの水和数は,対イオンの水和自由エネルギー,体積および対イオンの分布状態により決まることが示された.さらに,層間対イオンの特性パラメータを仮想的に変動させたMD計算の結果から,層間対イオンの水和自由エネルギーと電荷とが影響因子として競合することにより,対イオンの分布状態が制御されることが明らかになった.これらの結果から得られた影響因子を含む経験式によって,層間対イオンの異なるモンモリロナイト層間の膨潤挙動を定量的に予測することが可能となる.
ISSN:1884-7579
1884-7579
DOI:10.3327/jnuce.29.2_63