大学生の注意欠如・多動傾向と抑うつとの関連 コロナ禍におけるストレスを媒介として

本研究は,全国47都道府県の4年制または6年制大学に在籍する4,120名の大学生にweb質問紙調査を実施し,大学生の注意欠如・多動傾向と抑うつとの関連を明らかにするとともに,注意欠如・多動傾向がコロナ禍におけるストレスを媒介して抑うつへと関連するメカニズムについて実証的検討を行った。パス解析の結果,注意欠如・多動傾向から抑うつへの直接の正の関連に加え,注意欠如・多動傾向の高さがコロナ禍におけるストレスの高さを媒介して抑うつの高さへと関連を示すことが明らかとなった。注意欠如・多動傾向の下位尺度である不注意および多動性・衝動性に関しても,不注意と多動性・衝動性の各変数から抑うつへの直接の正の関連に...

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Published in教育心理学研究 Vol. 71; no. 4; pp. 257 - 276
Main Authors 齊藤, 彩, 松本, 聡子, 吉武, 尚美, 菅原, ますみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 30.12.2023
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Summary:本研究は,全国47都道府県の4年制または6年制大学に在籍する4,120名の大学生にweb質問紙調査を実施し,大学生の注意欠如・多動傾向と抑うつとの関連を明らかにするとともに,注意欠如・多動傾向がコロナ禍におけるストレスを媒介して抑うつへと関連するメカニズムについて実証的検討を行った。パス解析の結果,注意欠如・多動傾向から抑うつへの直接の正の関連に加え,注意欠如・多動傾向の高さがコロナ禍におけるストレスの高さを媒介して抑うつの高さへと関連を示すことが明らかとなった。注意欠如・多動傾向の下位尺度である不注意および多動性・衝動性に関しても,不注意と多動性・衝動性の各変数から抑うつへの直接の正の関連に加え,不注意,多動性・衝動性の高さがコロナ禍におけるストレスの高さを媒介して抑うつの高さへと関連を示した。なお,注意欠如・多動傾向,不注意,多動性・衝動性のいずれのモデルについても,媒介モデルの間接効果は小さなものであった。 注意欠如・多動傾向が高い大学生における抑うつ症状の発現リスクの高さを認識し,予防および早期介入に向けて,コロナ禍におけるストレスを軽減するような支援の必要性が示唆された。
ISSN:0021-5015
2186-3075
DOI:10.5926/jjep.71.257