直腸癌に対する自律神経機能温存手術 第1報:自律神経を中心とした直腸癌手術分類の試み

上下腹神経叢,骨盤神経叢の処理を主眼とした手術分類を規定し,腫瘍の部位,進行度に応じどの程度の機能が温存できるかを検討した.対象は当科で切除された直腸癌症例100例で,縮小手術;Ia(全神経叢を残す)5例,Ib(骨盤神経叢を残す)26例,機能温存手術;IIa(全神経叢を残す)2例,IIb(骨盤神経叢を残す)51例,拡大手術;IIIa(片側骨盤神経叢は残す)9例,IIIb(全神経叢の切除)7例であった.術後の神経因性膀胱の発現率はIa, Ib, IIa 0%, IIb 65%,IIIa 86%, IIIb 100%で,勃起機能障害はIa, Ibでは0%, IIa,IIb では20%,IIIa+b...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 44; no. 6; pp. 923 - 933
Main Authors 竹村, 克二, 安藤, 昌之, 椿, 昌祐, 多田, 雅典, 山下, 博典, 和田, 靖, 谷畑, 英一, 中島, 和美, 遠藤, 光夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 1991
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Summary:上下腹神経叢,骨盤神経叢の処理を主眼とした手術分類を規定し,腫瘍の部位,進行度に応じどの程度の機能が温存できるかを検討した.対象は当科で切除された直腸癌症例100例で,縮小手術;Ia(全神経叢を残す)5例,Ib(骨盤神経叢を残す)26例,機能温存手術;IIa(全神経叢を残す)2例,IIb(骨盤神経叢を残す)51例,拡大手術;IIIa(片側骨盤神経叢は残す)9例,IIIb(全神経叢の切除)7例であった.術後の神経因性膀胱の発現率はIa, Ib, IIa 0%, IIb 65%,IIIa 86%, IIIb 100%で,勃起機能障害はIa, Ibでは0%, IIa,IIb では20%,IIIa+bでは100%の発生率であった。遠隔転移例を除いた全症例の5年率はIa+b64.3%,IIa+b75.6%と良好で,逆にIIIの拡大手術では67.5%と不良であった.再発は16例19%で,その内訳は局所再発3例,吻合部再発2例,鼠径リンパ節再発2例,遠隔転移再発8例,腹膜播種1例であり,IIbで局所再発の占める割合が高かった.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.44.923