光ファイバーを用いる三次元蛍光スペクトルによる古代の “緑” の染織物に使用された染料の同定 三次元蛍光スペクトルによる古代染織遺物に使用された染料の非破壊的同定法 (第4報)

およそ16~17世紀に中国で製作された “錦” に織り込まれている緑の染料糸 (X) に使われた染料の同定を光ファイバー装置を用いた三次元蛍光スペクトルの比較により行った.古代の緑の染織物は, アイの青と黄色植物染料による重ね染めによって染め出されていた.黄色染料のベルベリン, キハダ, オウレン, カリヤス, エンジュ, ハゼ, クチナシ及びウコンのそれぞれとアイを用い, (X) と同じ色相に重ねて染め, それらの標準試料から得られた三次元蛍光スペクトルの等高線図を (X) のそれと比較した.その結果, (X) はキハダとアイの重ね染めによるものであることが明らかとなった....

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Published in分析化学 Vol. 46; no. 10; pp. 791 - 799
Main Authors 下山, 進, 野田, 裕子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 1997
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.46.791

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Summary:およそ16~17世紀に中国で製作された “錦” に織り込まれている緑の染料糸 (X) に使われた染料の同定を光ファイバー装置を用いた三次元蛍光スペクトルの比較により行った.古代の緑の染織物は, アイの青と黄色植物染料による重ね染めによって染め出されていた.黄色染料のベルベリン, キハダ, オウレン, カリヤス, エンジュ, ハゼ, クチナシ及びウコンのそれぞれとアイを用い, (X) と同じ色相に重ねて染め, それらの標準試料から得られた三次元蛍光スペクトルの等高線図を (X) のそれと比較した.その結果, (X) はキハダとアイの重ね染めによるものであることが明らかとなった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.46.791