「2023職場における腰痛予防宣言!」における当院の取り組み 職種別腰痛特性と予防対策

【はじめに、目的】我が国における業務上疾病は医療・介護職を含む保健衛生業では腰痛が81%に上り、予防対策が急務である。日本理学療法士協会は「職場における腰痛予防宣言!」 (以下、事業)と題し、会員が所属する施設内での腰痛予防講習会開催や職場のリスク見積と改善提案実施を支援している。当院では2022年度に本活動を行ったが、多面的なリスク見積、効果的・効率的な業務改善提案や腰痛予防施策には至らなかった。今回、事業の一環として、当法人職員を対象に腰痛の罹患率や職種特性を調査し、腰痛の要因や特性を明らかにすることを目的とした。【方法】当法人職員331名に対しアンケート調査を実施し回答の得られた136名...

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Published in日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 p. 149
Main Authors 川上, 将司, 杉本, 諭, 松本, 竜也, 村野, 舜, 古山, つや子, 仲丸, 武, 小宮山, 隼也, 原, 宏次朗, 小鹿野, 康平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2025
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ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_149

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Summary:【はじめに、目的】我が国における業務上疾病は医療・介護職を含む保健衛生業では腰痛が81%に上り、予防対策が急務である。日本理学療法士協会は「職場における腰痛予防宣言!」 (以下、事業)と題し、会員が所属する施設内での腰痛予防講習会開催や職場のリスク見積と改善提案実施を支援している。当院では2022年度に本活動を行ったが、多面的なリスク見積、効果的・効率的な業務改善提案や腰痛予防施策には至らなかった。今回、事業の一環として、当法人職員を対象に腰痛の罹患率や職種特性を調査し、腰痛の要因や特性を明らかにすることを目的とした。【方法】当法人職員331名に対しアンケート調査を実施し回答の得られた136名 (回答率41.1%)を対象とした。未回答項目がある者は除外した。アンケートは無記名でGoogleフォームにて職種、腰痛の有無、作業姿勢・負荷、日常的な運動習慣の有無、身体症状による負担感を評価するSomatic Symptom Scale-8(SSS-8)を調査した。調査期間は2023年12月から2024年2月とした。まず腰痛の有無を性別、職種別に調べ、作業姿勢・負荷、日常的な運動習慣の有無SSS-8との関連について、カイ二乗検定を用いて比較した。有意水準は5%とした。【結果】腰痛有りが52.2%、が47.8%。男女別の腰痛有訴率は男性 14.0%、女性38.2%であった。有訴者が多かった職種は看護師 ・准看護師 (以下、看護職)、介護士、リハビリテーション専門職、事務職員、臨床工学技士、医療ソーシャルワーカー、診療放射線技師、運転手の順であった。10名以上の回答が得られた職種(看護職、介護士、リハビリテーション専門職、事務職員)において腰痛の有無と各項目を職種別に分析した腰痛の有無と SSS-8において看護職にのみ有意差を認め、作業姿勢・負荷および日常的な運動習慣の有無はいずれの職種においても有意差は認めなかった。【考察】本研究の結果、看護職においてのみ腰痛の有無とSSS-8に有意差が見られ、心理社会的要因の一つである身体化が生じている可能性が示唆された。また作業姿勢・負荷において、いずれの職種においても腰痛との関連を認めなかった理由として、当法人は整形外科疾患対象者が多く、年齢層も高いため介助による負担が少ないと推測された。したがって当法人職員の腰痛予防対策としては、介助指導や腰痛体操の実施では改善されない可能性が考えられ、他の関連要因について検討が必要であると考えられた。【倫理的配慮】アンケート実施前に内容について同意の確認を行い、回答をもって同意を得た。(承認番号:20230003)
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ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.3.Suppl.No.1.0_149