東松山市化石と自然の体験館所蔵のパレオパラドキシア化石

パレオパラドキシアは,日本から北米大陸の太平洋側沿岸域の中新統より産出する代表的な哺乳類化石である.本稿では,東松山市化石と自然の体験館に所蔵されている埼玉県東松山市葛袋地域産のパレオパラドキシア亜科化石について報告する.埼玉県からは2015 年までに8 地点20 標本のパレオパラドキシア亜科の化石が報告されている.このうち東松山市葛袋地域からは,13 標本が報告されていた.2016 年に東松山市化石と自然の体験館が開館し,継続して化石含有層の処理が行われたことにより新たに22 標本が得られたので報告する.本稿で報告する化石には,上顎歯は第4 小臼歯,第2,第3 大臼歯が,下顎歯は第1 小臼歯...

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Published in埼玉県立自然の博物館研究報告 Vol. 19; pp. 21 - 32
Main Authors 原田 吉樹, 北川 博道, 荒井 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 埼玉県立自然の博物館 19.03.2025
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ISSN1881-8528
2433-8508
DOI10.24715/smnh.19.0_21

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Summary:パレオパラドキシアは,日本から北米大陸の太平洋側沿岸域の中新統より産出する代表的な哺乳類化石である.本稿では,東松山市化石と自然の体験館に所蔵されている埼玉県東松山市葛袋地域産のパレオパラドキシア亜科化石について報告する.埼玉県からは2015 年までに8 地点20 標本のパレオパラドキシア亜科の化石が報告されている.このうち東松山市葛袋地域からは,13 標本が報告されていた.2016 年に東松山市化石と自然の体験館が開館し,継続して化石含有層の処理が行われたことにより新たに22 標本が得られたので報告する.本稿で報告する化石には,上顎歯は第4 小臼歯,第2,第3 大臼歯が,下顎歯は第1 小臼歯,第4 小臼歯? と第2 大臼歯が含まれていた.このうち上顎第4 小臼歯,下顎第4 小臼歯と下顎第2 大臼歯は,東松山市葛袋地域における初めての報告である.葛袋地域のパレオパラドキシア亜科化石は,1 地点から報告された標本数としては世界で最も多い.これからも追加標本の産出が見込まれることから,将来的に臼歯の形態変異の研究等に最適な標本群になるであろう.
ISSN:1881-8528
2433-8508
DOI:10.24715/smnh.19.0_21