高齢者重症外傷における出血部位の検討 若年・青壮年者との比較

【はじめに】高齢者外傷は出血部位の診断の遅れから死亡する例もある.この研究では高齢者重症外傷における出血部位を若年・青壮年者と比較し検討した.【対象と方法】重症外傷により大量出血を認めた76例を対象とした.大量出血症例は濃厚赤血球を24時間以内に10単位以上投与した症例,または大量出血により早期に死亡した症例とした.【結果】若年・青壮年者は35例,高齢者は41例だった.大量出血の原因とされている三大内出血や,活動性外出血以外の部位からの出血症例(骨折・打撲などによる多部位損傷や後腹膜血腫などのprimary surveyでは診断が困難な症例)は若年・青壮年者では5例(14%),高齢者は16例(...

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Published in日本外傷学会雑誌 Vol. 28; no. 4; pp. 299 - 304
Main Authors 野島, 剛, 松本, 俊之, 喜多村, 泰輔, 斎坂, 雄一, 田中, 公章, 石原, 潤子, 大森, 貴夫, 小松原, 将
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外傷学会 20.10.2014
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ISSN1340-6264
2188-0190
DOI10.11382/jjast.28.299

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Summary:【はじめに】高齢者外傷は出血部位の診断の遅れから死亡する例もある.この研究では高齢者重症外傷における出血部位を若年・青壮年者と比較し検討した.【対象と方法】重症外傷により大量出血を認めた76例を対象とした.大量出血症例は濃厚赤血球を24時間以内に10単位以上投与した症例,または大量出血により早期に死亡した症例とした.【結果】若年・青壮年者は35例,高齢者は41例だった.大量出血の原因とされている三大内出血や,活動性外出血以外の部位からの出血症例(骨折・打撲などによる多部位損傷や後腹膜血腫などのprimary surveyでは診断が困難な症例)は若年・青壮年者では5例(14%),高齢者は16例(39%)で統計学的に有意差(P<0.05)を認めた.【考察】高齢者外傷はprimary surveyで異常を認めなくても大量出血となる症例も多く,そのことを念頭におき初療にあたるべきである.
ISSN:1340-6264
2188-0190
DOI:10.11382/jjast.28.299