下咽頭癌 stage III · IV 症例の臨床的検討 neoadjuvant chemotherapy の有用性

1989 - 2005 年に久留米大学病院で根治治療を行った下咽頭扁平上皮癌一次治療例 208 症例 (stage III 42 例、IV 166 例) を対象とし、治療方法および neoadjurant chemotherapy (NAC) の有用性について検討を行った。NAC の有無で生存率を比較した結果、NAC を行った症例の 3 年生存率は 62%、行っていない症例では 63%であった (p = 0.7)。喉頭温存治療を行った症例のうち、レーザー + 化学放射線治療の 5 年局所制御率は 89%と最も良好であり、今後は適応を拡大していく必要があると考えられた。NAC による原発巣、頸部...

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 55; no. 3; pp. 97 - 103
Main Authors 千々和, 秀記, 進, 武一郎, 梅野, 博仁, 中島, 格, 鈴木, 弦, 早渕, 尚文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 2009
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Summary:1989 - 2005 年に久留米大学病院で根治治療を行った下咽頭扁平上皮癌一次治療例 208 症例 (stage III 42 例、IV 166 例) を対象とし、治療方法および neoadjurant chemotherapy (NAC) の有用性について検討を行った。NAC の有無で生存率を比較した結果、NAC を行った症例の 3 年生存率は 62%、行っていない症例では 63%であった (p = 0.7)。喉頭温存治療を行った症例のうち、レーザー + 化学放射線治療の 5 年局所制御率は 89%と最も良好であり、今後は適応を拡大していく必要があると考えられた。NAC による原発巣、頸部リンパ節の奏効率はそれぞれ 53%、38%であった。奏効度別の生存率は CR、PR 症例が NC 症例に比べ良好であった (p = 0.001)。NAC は予後を推測する指標として有用であり、治療方法を選択するための補助療法としても有用な治療と考えられた。
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi.55.97