林業労働人口縮小下における伐採・再造林の現状 2019 年の岩手県を事例として

岩手県を事例に素材生産・再造林活動の持続性の示唆を得ることを目的として,伐採・再造林活動の2019年における現状と概ね10年間の変化に焦点をあて,岩手県農林水産部ならびに岩手県内の林業関連団体への聞き取り調査,および岩手県内251林業事業体を対象に郵送質問紙調査(2020年3月〜2020年5月)を実施した。有効回答率は44%(110事業体)であった。質問紙調査の結果,10年間の変化で特筆すべき点は,林業事業体別の素材生産規模別にみると,2万m³以上層に比べて1〜2万m³層の素材生産量が飛躍的に伸びたこと,一方,2万m³以上層の造林実績は,1〜2万m³層に比べて大きく増加したことであった。すなわ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in東北森林科学会誌 Vol. 28; no. 1; pp. 1 - 9
Main Authors 御田, 成顕, 大塚, 生美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 東北森林科学会 2023
Online AccessGet full text
ISSN1342-1336
2424-1385
DOI10.18982/tjfs.28.1_1

Cover

Loading…
More Information
Summary:岩手県を事例に素材生産・再造林活動の持続性の示唆を得ることを目的として,伐採・再造林活動の2019年における現状と概ね10年間の変化に焦点をあて,岩手県農林水産部ならびに岩手県内の林業関連団体への聞き取り調査,および岩手県内251林業事業体を対象に郵送質問紙調査(2020年3月〜2020年5月)を実施した。有効回答率は44%(110事業体)であった。質問紙調査の結果,10年間の変化で特筆すべき点は,林業事業体別の素材生産規模別にみると,2万m³以上層に比べて1〜2万m³層の素材生産量が飛躍的に伸びたこと,一方,2万m³以上層の造林実績は,1〜2万m³層に比べて大きく増加したことであった。すなわち,林業労働力の減少は,林業生産活動の中でもより造林活動縮小に作用していたこと,および,その造林活動を支えたのは2万m³以上の大規模層であったことが明らかになった。今後の岩手県の林業生産力は,素材生産量の拡大とともに再造林が追いつけない可能性,あるいは造林・保育に労働力が配分された場合,素材生産事業量が伸び悩む可能性が示唆された。
ISSN:1342-1336
2424-1385
DOI:10.18982/tjfs.28.1_1