市町村における森林行政の現状と今後の動向 全国市町村に対するアンケート調査から

2018年度に実施した,市町村の林務担当職員を対象としたアンケート調査(回収数615通)結果を用いて,市町村森林行政の現状と今後の動向について論じた。多くの市町村では,林務担当体制は小規模で,専門性を持たない職員が他業務を兼務しながら担っている実態が確認された。近年の地方分権化に対する受け止めは,負担が増えて迷惑などの消極的な意見が多く,約半数の市町村は林務担当体制の強化を検討していると答えた。森林環境譲与税に対しては,歓迎する意見と消極的な意見に市町村の意見は分かれた。一方で,独自の計画等の策定や常設の委員会等の設置の動きが広がっており,政策や体制という点で市町村林政に変化の兆しが見られる。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in林業経済研究 Vol. 66; no. 1; pp. 51 - 60
Main Authors 鈴木, 春彦, 柿澤, 宏昭, 枚田, 邦宏, 田村, 典江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 林業経済学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:2018年度に実施した,市町村の林務担当職員を対象としたアンケート調査(回収数615通)結果を用いて,市町村森林行政の現状と今後の動向について論じた。多くの市町村では,林務担当体制は小規模で,専門性を持たない職員が他業務を兼務しながら担っている実態が確認された。近年の地方分権化に対する受け止めは,負担が増えて迷惑などの消極的な意見が多く,約半数の市町村は林務担当体制の強化を検討していると答えた。森林環境譲与税に対しては,歓迎する意見と消極的な意見に市町村の意見は分かれた。一方で,独自の計画等の策定や常設の委員会等の設置の動きが広がっており,政策や体制という点で市町村林政に変化の兆しが見られる。しかし当面は市町村の脆弱な体制は続くことから,人材育成も含めた市町村の体制づくりに森林政策の焦点を当てることが重要性である。
ISSN:0285-1598
2424-2454
DOI:10.20818/jfe.66.1_51