平面セル状対流におけるカオス的混合の数値解析I 初期混合パターンと微細混合パターンの形成機構

層流場における流体混合の基本的な機構と混合パターンを規定する因子を明らかにするために数値シミュレーションを行い, 非線形ダイナミクス理論の観点から解析を行った.流れ場は, 時間的に周期変動する2次元のセル状対流とし, 対流のみによる混合機構を調べるために, ブラウン運動による拡散効果は除外した.混合過程は3段階に分けられる.第1段階では, セル境界で発生する安定多様体と不安定多様体によって形成されるローブの形状が混合パターンやセル間の流体交換速度を決める.第2段階では, 流体のカオス的運動が重要な役割を果たし, ローブ内部に微細な縞模様を形成する.混合パターンが定常となる最終段階では, セル内...

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Published in化学工学論文集 Vol. 25; no. 2; pp. 294 - 302
Main Authors 井上, 義朗, 平田, 雄志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 化学工学会 10.03.1999
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Summary:層流場における流体混合の基本的な機構と混合パターンを規定する因子を明らかにするために数値シミュレーションを行い, 非線形ダイナミクス理論の観点から解析を行った.流れ場は, 時間的に周期変動する2次元のセル状対流とし, 対流のみによる混合機構を調べるために, ブラウン運動による拡散効果は除外した.混合過程は3段階に分けられる.第1段階では, セル境界で発生する安定多様体と不安定多様体によって形成されるローブの形状が混合パターンやセル間の流体交換速度を決める.第2段階では, 流体のカオス的運動が重要な役割を果たし, ローブ内部に微細な縞模様を形成する.混合パターンが定常となる最終段階では, セル内の最も外側に位置するKAM曲線の形状が最終混合パターンを規定する.
ISSN:0386-216X
1349-9203
DOI:10.1252/kakoronbunshu.25.294