顔面神経鞘腫のガンマナイフ治療 腫瘍コントロールと機能予後

顔面神経鞘腫は頭蓋内神経鞘腫の中で, 手術治療による機能温存の難しい病変である. 顔面神経鞘腫のガンマナイフ治療の長期成績, 機能予後について述べる. 小牧市民病院において治療された顔面神経鞘腫18例, 男性6例, 女性12例であり, 治療時点の年齢は平均47.1歳である. 不明の1例を除いて17例中12症例において顔面神経麻痺, 少数例に顔面痙攣があり, また多くが聴力障害を合併していた. ガンマナイフ時の腫瘍サイズと体積の平均は5.0ccであり, 最大線量, 辺縁線量はそれぞれ24.2Gy, 12.7Gyであった. 治療後12∼240カ月の経過観察 (平均41.1カ月) がなされ, MRI...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 23; no. 3; pp. 232 - 239
Main Authors 長谷川, 俊典, 木田, 義久, 加藤, 丈典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2014
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.23.232

Cover

Loading…
More Information
Summary:顔面神経鞘腫は頭蓋内神経鞘腫の中で, 手術治療による機能温存の難しい病変である. 顔面神経鞘腫のガンマナイフ治療の長期成績, 機能予後について述べる. 小牧市民病院において治療された顔面神経鞘腫18例, 男性6例, 女性12例であり, 治療時点の年齢は平均47.1歳である. 不明の1例を除いて17例中12症例において顔面神経麻痺, 少数例に顔面痙攣があり, また多くが聴力障害を合併していた. ガンマナイフ時の腫瘍サイズと体積の平均は5.0ccであり, 最大線量, 辺縁線量はそれぞれ24.2Gy, 12.7Gyであった. 治療後12∼240カ月の経過観察 (平均41.1カ月) がなされ, MRIにて中心壊死の所見がまず出現し, ついで半数が著明な縮小を示し, 残る半数は不変であるが長期にわたる腫瘍コントロールが達成されている. この間, 顔面神経は正常, あるいは麻痺の改善が9例で, 7例では不変であった. 2例では副作用として, 治療後1∼3日の早期に一過性の顔面神経麻痺 (Grade III) を生じたが, 次第に回復してそれぞれHouse and Brackmann Grade I, IIにて推移している.  顔面神経鞘腫のガンマナイフ治療により, 神経症状を悪化させることなく, 長期に腫瘍をコントロールすることが可能である. 本腫瘍に対しては, 一時的であっても確実に顔面神経麻痺を悪化させる手術的摘出に代わって, ガンマナイフ治療が選択されるべきである.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.23.232