二次イオン質量分析法によるガラス中のナトリウム及び水素の深さ方向分析における試料冷却効果

ラスの表面から深さ方向のナトリウム及び水素の濃度分布を精密に評価するため,SIMSの適用を試みた.従来,SIMSでガラスなど絶縁物を分析する際には,帯電現象やその補正のための電子線照射に基づく元素の電場誘起拡散や熱拡散が生じ,特に表面層のナトリウムや水素の正確な評価は困難であった.本稿では,試料冷却による元素の易動度の低減を利用した拡散抑制法をSIMSに応用することを考え,SiO2マトリックスに23Na及び1Hをイオン注入した試料を用いSIMS測定条件の検討を行った.その結果,測定の際の試料冷却はナトリウム及び水素ともにその濃度分布の測定精度向上に有効であり,更に水素の検出限界をも改善させるこ...

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Published in分析化学 Vol. 42; no. 4; pp. 243 - 247
Main Authors 林, 泰夫, 松本, 潔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.04.1993
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.42.4_243

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Summary:ラスの表面から深さ方向のナトリウム及び水素の濃度分布を精密に評価するため,SIMSの適用を試みた.従来,SIMSでガラスなど絶縁物を分析する際には,帯電現象やその補正のための電子線照射に基づく元素の電場誘起拡散や熱拡散が生じ,特に表面層のナトリウムや水素の正確な評価は困難であった.本稿では,試料冷却による元素の易動度の低減を利用した拡散抑制法をSIMSに応用することを考え,SiO2マトリックスに23Na及び1Hをイオン注入した試料を用いSIMS測定条件の検討を行った.その結果,測定の際の試料冷却はナトリウム及び水素ともにその濃度分布の測定精度向上に有効であり,更に水素の検出限界をも改善させることを見いだした。この試料冷却を伴い一次イオン及び電子ビーム条件を最適化したSIMS測定技術の確立により,ガラスの精度の高い深さ方向元素濃度分布の解析が可能となった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.42.4_243