二次イオン質量分析法によるイットリア安定化ジルコニア膜の深さ方向分析

固体電解質型燃料電池の電解質成分であるイットリア安定化ジルコニアについて,深さ方向のイットリア濃度分布のSIMSによる分析と定量を検討した.SIMSで絶縁性試料の%オーダーの成分を定量する場合に問題となる一次イオンによる試料の帯電現象や,二次イオン強度へのマトリックス効果を解決するため,著者らは電子線照射により試料の帯電の抑制法を検討し,自作の標準試料を用いて二次イオン強度と濃度との関係を調べ定量法を検討した.その結果,相対二次イオン収率はマトリックスの影響を受けず,イットリア濃度は一次式により定量可能であることが分かった.これは,試料成分である酸素の存在によりイオン化効率が向上したためと考え...

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Published in分析化学 Vol. 43; no. 3; pp. 209 - 214
Main Authors 佐々木, 博一, 佐野, 浩司, 矢川, 千織, 中山, 敏郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 05.03.1994
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.43.209

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Summary:固体電解質型燃料電池の電解質成分であるイットリア安定化ジルコニアについて,深さ方向のイットリア濃度分布のSIMSによる分析と定量を検討した.SIMSで絶縁性試料の%オーダーの成分を定量する場合に問題となる一次イオンによる試料の帯電現象や,二次イオン強度へのマトリックス効果を解決するため,著者らは電子線照射により試料の帯電の抑制法を検討し,自作の標準試料を用いて二次イオン強度と濃度との関係を調べ定量法を検討した.その結果,相対二次イオン収率はマトリックスの影響を受けず,イットリア濃度は一次式により定量可能であることが分かった.これは,試料成分である酸素の存在によりイオン化効率が向上したためと考えられる.SIMS定量結果は,ICP-AESやEPMAによるそれと一致し,SIMSによる%オーダーの成分の定量が可能なことが明らかになった.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.43.209