呼吸器疾患への細胞分子生物学的アプローチ 肺癌についての最近の知見
肺小細胞癌の分化抗原については, 最近, 話題になっているcluster 1 small cell lung cancer antigen (NCAM) を中心に, 腺癌ではsurfactant apoproteinsが他臓器の腺癌との鑑別に利用できることを述べた. 腺癌には組織学的・細胞学的亜型が多いが, その悪性度関連因子 (予後因子) として, 癌細胞核の平均DNA量, 異数体細胞の出現頻度が重要であること, また, 癌細胞の増殖性も重要な因子であることを解説した. 増殖性を知るにはbromodeoxyuridineラベル後の免疫染色, proliferating cell nuclea...
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Published in | 順天堂医学 Vol. 36; no. 4; pp. 470 - 477 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
順天堂医学会
1991
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Subjects | |
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Summary: | 肺小細胞癌の分化抗原については, 最近, 話題になっているcluster 1 small cell lung cancer antigen (NCAM) を中心に, 腺癌ではsurfactant apoproteinsが他臓器の腺癌との鑑別に利用できることを述べた. 腺癌には組織学的・細胞学的亜型が多いが, その悪性度関連因子 (予後因子) として, 癌細胞核の平均DNA量, 異数体細胞の出現頻度が重要であること, また, 癌細胞の増殖性も重要な因子であることを解説した. 増殖性を知るにはbromodeoxyuridineラベル後の免疫染色, proliferating cell nuclear antigenに対する免疫染色が有用であった. 癌抑制遺伝子の欠失ないし不活化については, 13q 17p 3pを中心に, また癌遺伝子の異常についてはmyc関連遺伝子の増幅・活性化について, それぞれ肺癌発生と憎悪との関連で概説した. これらの基礎研究の成果のあるものはすでに臨床応用が可能である. |
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ISSN: | 0022-6769 2188-2134 |
DOI: | 10.14789/pjmj.36.470 |