孤立性胃静脈瘤に対する予防的治療の適応基準 経過観察例による検討

われわれは2005年に無治療経過観察できた孤立性胃静脈瘤症例を解析し,その出血予知因子として(1)高度の肝障害(2)食道静脈瘤硬化療法の既往(3)大酒家(4)胃静脈瘤上の発赤・びらん(5)肝細胞癌の合併の5項目が重要であり,とりわけ食道静脈瘤治療後に出現・増悪するものは短期間に破裂する場合が多く,迅速に予防的治療を行う必要があることを発表した.これを踏まえ当科の孤立性胃静脈瘤の予防治療適応を「F2以上で発赤びらんを有し,かつ他の予知因子のいずれかが該当する症例」と決定した.この基準を定めた2005年までと,基準決定後の2006年以降とで孤立性胃静脈瘤出血を減らすことができたかをretrospe...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本門脈圧亢進症学会雑誌 Vol. 17; no. 4; pp. 145 - 147
Main Authors 福井, 博, 瓦谷, 英人, 上嶋, 昌和, 松村, 雅彦, 小島, 邦行, 梅本, 典江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本門脈圧亢進症学会 30.11.2011
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1344-8447
2186-6376
DOI10.11423/jsph.17.145

Cover

More Information
Summary:われわれは2005年に無治療経過観察できた孤立性胃静脈瘤症例を解析し,その出血予知因子として(1)高度の肝障害(2)食道静脈瘤硬化療法の既往(3)大酒家(4)胃静脈瘤上の発赤・びらん(5)肝細胞癌の合併の5項目が重要であり,とりわけ食道静脈瘤治療後に出現・増悪するものは短期間に破裂する場合が多く,迅速に予防的治療を行う必要があることを発表した.これを踏まえ当科の孤立性胃静脈瘤の予防治療適応を「F2以上で発赤びらんを有し,かつ他の予知因子のいずれかが該当する症例」と決定した.この基準を定めた2005年までと,基準決定後の2006年以降とで孤立性胃静脈瘤出血を減らすことができたかをretrospectiveに検討したところ,F2以上の静脈瘤に関しては出血率を有意に減少させることができた.当科の治療基準は妥当かつ有効であることが示唆された.
ISSN:1344-8447
2186-6376
DOI:10.11423/jsph.17.145