殷代漢語の時間介詞“于”の文法化プロセスに関する-考察 未来時指向を手がかりに

殷代漢語の時間介詞“于”は、時点を表すとの理解を前提として、その成立過程を動作行為の地点を導く介詞“于”から拡張したと説くのが従来の説である。ところがTakashima 1990は、甲骨文の“于”が導く時間には、明確な「fbturity」 (本稿では「未来時指向」と称す) があることを指摘しており、これが是認されるなら、従来の説明は再検討が迫られることになる。本稿ではTakashima1990の妥当性を再確認した上で、“于”はまず移動動詞から着点マーカーへ文法化し、次に時間介詞に拡張することで、未来時を指向するに至ったとの新たな解釈を提示する。...

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Bibliographic Details
Published in中国語学 Vol. 2007; no. 254; pp. 164 - 180
Main Author 戸内, 俊介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本中国語学会 27.10.2007
Subjects
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ISSN0578-0969
1884-1287
DOI10.7131/chuugokugogaku.2007.164

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Summary:殷代漢語の時間介詞“于”は、時点を表すとの理解を前提として、その成立過程を動作行為の地点を導く介詞“于”から拡張したと説くのが従来の説である。ところがTakashima 1990は、甲骨文の“于”が導く時間には、明確な「fbturity」 (本稿では「未来時指向」と称す) があることを指摘しており、これが是認されるなら、従来の説明は再検討が迫られることになる。本稿ではTakashima1990の妥当性を再確認した上で、“于”はまず移動動詞から着点マーカーへ文法化し、次に時間介詞に拡張することで、未来時を指向するに至ったとの新たな解釈を提示する。
ISSN:0578-0969
1884-1287
DOI:10.7131/chuugokugogaku.2007.164