肺動脈分岐異常を術前診断し,右肺下葉切除を行った肺癌の1例

肺動脈の分岐や走行は破格が多いことが知られているが,右中下葉にわたって分岐するものは比較的稀である.今回われわれは,右主肺動脈の第1分枝が中下葉に流入する,いわゆる縦隔型中下葉枝といわれる肺動脈分岐異常を伴う右下葉肺癌症例にロボット支援下手術を施行したので報告する.症例は78歳,女性.肺腺癌に対してロボット支援下右下葉切除術,リンパ節郭清ND2a1を施行した.術前評価として施行した3次元CT(three-dimensional computed tomography,3D-CT)では,右主肺動脈中枢から尾側へ分岐する径0.8cmの縦隔型中下葉枝(A5b+7b+8b+10c)が,中間気管支幹と上...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 86; no. 2; pp. 246 - 250
Main Authors 池田 直樹, 山本 陽子, 竹原 洋士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2025
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.86.246

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Summary:肺動脈の分岐や走行は破格が多いことが知られているが,右中下葉にわたって分岐するものは比較的稀である.今回われわれは,右主肺動脈の第1分枝が中下葉に流入する,いわゆる縦隔型中下葉枝といわれる肺動脈分岐異常を伴う右下葉肺癌症例にロボット支援下手術を施行したので報告する.症例は78歳,女性.肺腺癌に対してロボット支援下右下葉切除術,リンパ節郭清ND2a1を施行した.術前評価として施行した3次元CT(three-dimensional computed tomography,3D-CT)では,右主肺動脈中枢から尾側へ分岐する径0.8cmの縦隔型中下葉枝(A5b+7b+8b+10c)が,中間気管支幹と上下肺静脈の間を走行して中下葉へ分布していた.このような比較的稀な破格を伴う症例であったが,3D-CTでの肺動脈分岐の術前検討と慎重な術中検索により,右下葉切除を安全に施行しえた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.86.246