家蚕脱皮腺の細胞組織学的研究 (I)

蚕の脱皮腺には形態学的特異性並びに呈色反応から空胞型, 顆粒型及び移行型の3型があり, 第6腹節までのものは全部空胞型である, このうち空胞型の脱皮腺について細胞組織学的観察を行つた結果は次のとおりである。 1) 空胞型脱皮腺の活動期には, 細胞質部の殆んど全域は空胞で占められているが, 空胞は完全にその内容物を失う。 2) 空胞は細胞の周辺部では小形で核に近ずくとともに大形となり, 小形のものに幾分内容を認め得るものがある。 3) 脱皮直後には殆んど空胞を含まないが, その後の経過とともに空胞も増加してゆくが, それに伴つて空胞の内容も変性する。 4) 成長した空胞の構成主体は lipoid...

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Published in日本蚕糸学雑誌 Vol. 20; no. 4; pp. 226 - 231
Main Author 小林, 勝利
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 30.08.1951
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Summary:蚕の脱皮腺には形態学的特異性並びに呈色反応から空胞型, 顆粒型及び移行型の3型があり, 第6腹節までのものは全部空胞型である, このうち空胞型の脱皮腺について細胞組織学的観察を行つた結果は次のとおりである。 1) 空胞型脱皮腺の活動期には, 細胞質部の殆んど全域は空胞で占められているが, 空胞は完全にその内容物を失う。 2) 空胞は細胞の周辺部では小形で核に近ずくとともに大形となり, 小形のものに幾分内容を認め得るものがある。 3) 脱皮直後には殆んど空胞を含まないが, その後の経過とともに空胞も増加してゆくが, それに伴つて空胞の内容も変性する。 4) 成長した空胞の構成主体は lipoid 性の強い物質であると思われる。 5) 脱皮腺内容の導管への移動については, 核がその通路となると考えられる。
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.20.226