アルミナとチタニアの混合物からのチタン酸アルミニウム焼成体の微構造に及ぼす過剰アルミナの影響

アルミナ過剰組成のチタン酸アルミニウム焼成体を硝酸アルミニウム水溶液とルチル微粉末の混合物から作製し, 主として微構造に及ぼす過剰アルミナの影響について検討した. 等モルからAl2O3/TiO2=1.50までのアルミナ過剰組成の焼成体はいずれもドメイン組織を形成し, ドメイン径に大きな差は認められなかった. アルミナ過剰量が増加するに従ってドメイン内に球状のコランダム粒子が多く分散し, ドメイン内の1次粒子配向性は弱くなった. それに伴ってドメイン界面のき裂量は少なくなり, 1.50試料ではほとんど認められなかった. また同時に焼成体中の残留ひずみが大きくなった. このような焼成体中のき裂量及...

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Published in窯業協會誌 Vol. 93; no. 1078; pp. 315 - 321
Main Authors 銭, 端芬, 大矢, 豊, 浜野, 健也, 中川, 善兵衛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本セラミックス協会 01.06.1985
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Summary:アルミナ過剰組成のチタン酸アルミニウム焼成体を硝酸アルミニウム水溶液とルチル微粉末の混合物から作製し, 主として微構造に及ぼす過剰アルミナの影響について検討した. 等モルからAl2O3/TiO2=1.50までのアルミナ過剰組成の焼成体はいずれもドメイン組織を形成し, ドメイン径に大きな差は認められなかった. アルミナ過剰量が増加するに従ってドメイン内に球状のコランダム粒子が多く分散し, ドメイン内の1次粒子配向性は弱くなった. それに伴ってドメイン界面のき裂量は少なくなり, 1.50試料ではほとんど認められなかった. また同時に焼成体中の残留ひずみが大きくなった. このような焼成体中のき裂量及びひずみの変化は, ドメイン内にコランダム粒子が分散し, また1次粒子の配向が弱くなったためにドメインの見掛けの熱膨張異方性が小さくなって冷却時に発生する界面応力が小さくなったことに起因すると思われた. 焼成体の曲げ強さはアルミナ過剰量が多くなりき裂の少ない試料ほど大きくなった. またこのような焼成体では熱膨張率が若干大きくなった.
ISSN:0009-0255
1884-2127
DOI:10.2109/jcersj1950.93.1078_315