種々の臨床分離株の各種抗菌薬に対する感受性サーベイランス その1 1996年度分離グラム陽性球菌について

1992年度および1994年度に引き続き, 1996年度に国内各地の16施設において種々の臨床材料から分離された好気性グラム陽性球菌19菌種, 920株について各種抗菌薬41剤を用いて寒天平板希釈法でMICを測定し抗菌カの比較などの検討を行った。Staphylococcus aureusの中でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の占める割合は60.4%で, 既報告成績 (1992年度, 1994年度) と同様に高い分離頻度であった。これらMRSAに対し優れた抗菌力を示したのはvancomycin (VCM), arbekacin (ABK) とsulfamethoxazole-trim...

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Published in日本化学療法学会雑誌 Vol. 46; no. 9; pp. 324 - 342
Main Authors 東山, 伊佐夫, 吉田, 勇, 木村, 美司, 長野, 馨, 佐々木, 緊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本化学療法学会 25.09.1998
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ISSN1340-7007
1884-5886
DOI10.11250/chemotherapy1995.46.324

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Summary:1992年度および1994年度に引き続き, 1996年度に国内各地の16施設において種々の臨床材料から分離された好気性グラム陽性球菌19菌種, 920株について各種抗菌薬41剤を用いて寒天平板希釈法でMICを測定し抗菌カの比較などの検討を行った。Staphylococcus aureusの中でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の占める割合は60.4%で, 既報告成績 (1992年度, 1994年度) と同様に高い分離頻度であった。これらMRSAに対し優れた抗菌力を示したのはvancomycin (VCM), arbekacin (ABK) とsulfamethoxazole-trimethoprim (ST) でMIC90はいずれも1.56μg/mlであった。Staphylocom epidemidisに対してはVCM, ABK, minocyclineが優れた抗菌力 (MIC90≦1.56μg/ml) を示した。Streptococcus pyogenes, Streptococcus agalactiaeに対してはβ-ラクタム薬等各薬剤とも良好な抗菌力を示した。Streptococus pneumoniaeにおけるペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP) の割合は38.6%で, 既報告の1992年度および1994年度成績とほぼ同程度であった。これらPRSPに対する抗菌力はcarbapenems, VCM, cefpirome, cefditoren, cefbapeneが優れた抗菌力 (MIC90≦0.39μg/ml) を示した。Enterococcus faecalisに対してはampicillin, ST, VCM, imipenemが優れた抗菌力 (MIC90≦3.13μg/ml) を示した。Enterococcus faeciumに対しては各薬剤の抗菌力は弱く, 優れた抗菌力を示したのはVCM (MIC90 0.78μg/ml) であった。またMRSAおよび腸球菌属を含め今回MIC測定を行ったすべてのグラム陽性球菌の中にVCM高度耐性株は認められなかった。
ISSN:1340-7007
1884-5886
DOI:10.11250/chemotherapy1995.46.324