A群溶血レンサ球菌T-1型菌の長期間にわたる流行について-健康学童を対象にして 第2編相互の感染様式

1980年9月から1987年11月までの7年余にわたり, 大阪市内1小学校の全学童を対象に隔月毎に咽頭由来溶血レンサ球菌 (A, B, C, G群菌) の検索を行い, 1983年7月から3年7ヵ月に及ぶA群T-1型菌の流行を経験した. この流行は1982年5月に3年生の女子学童が外部からT-1型菌を持ち込んだことに端を発するものとみられる. それ以前はT-1型菌の検出率は極めて低率かつ散発的であったが, この女子学童からはこれ以降2年余の間連続してT-1型菌を分離した. 感染の形式としては, 1983年1月にこの女子学童が同じ学級の男子学童に感染させ, この男子学童はその妹に, この妹は同じ学...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 62; no. 10; pp. 893 - 899
Main Authors 奥田, 清, 奥山, 道子, 中島, 邦夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.10.1988
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.62.893

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Summary:1980年9月から1987年11月までの7年余にわたり, 大阪市内1小学校の全学童を対象に隔月毎に咽頭由来溶血レンサ球菌 (A, B, C, G群菌) の検索を行い, 1983年7月から3年7ヵ月に及ぶA群T-1型菌の流行を経験した. この流行は1982年5月に3年生の女子学童が外部からT-1型菌を持ち込んだことに端を発するものとみられる. それ以前はT-1型菌の検出率は極めて低率かつ散発的であったが, この女子学童からはこれ以降2年余の間連続してT-1型菌を分離した. 感染の形式としては, 1983年1月にこの女子学童が同じ学級の男子学童に感染させ, この男子学童はその妹に, この妹は同じ学級の男子学童にというように学級内, 家族内の相互感染によって流行が広がっていったものとみられる. こうして1983年には何回か続けてT-1型菌を分離した長期保菌者がほぼ全学年に出現し, その後の流行の担い手となった. この長期保菌者の中にはT-1型菌を2年余も保菌していた学童が8名存在した. 次に入学から卒業までの6年間の保菌状況を追跡し得た2学年62名のうち43名からT-1型菌を検出し, うち4名からは11回以上T-1型菌を分離した. 性別では男子からやや多く分離した. 同胞例43組について1983年7月から11月までの3回の検索において, 24組からA群菌を検出した. そのうち21組 (87.5%) において検出菌型が一致し, うち17組 (70.8%) はT-1型菌であった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.62.893