働く女性のワークライフバランスとライフサイクル 復職DC利用者データからの検討

明治維新の後,職業婦人や戦時中の女性労働力など,働く女性の力は日本を支えていたが,高度成長期には,外で働く夫を支え,家を守る「主婦」の役割が期待された.その後,若年労働者不足,家電普及による家事労働の軽減,就業意識の変化等によって,再び女性は労働力として進出し,「男女雇用機会均等法」「女性活躍推進法」が制定されたが,「主婦」の役割への期待は持続し,妊娠,出産,育児に伴う身体・環境変化の影響を強く受けるため,ワークライフコンフリクトが生じやすい可能性がある.今回,復職DC利用者データをもとに,働く女性のライフサイクル上の変化がどのように休職や復職に影響しているかを検討した.対象は2017年10月...

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Published in産業精神保健 Vol. 31; no. 1; pp. 7 - 14
Main Authors 林, 果林, 前田, 隆光, 松田, 由美江, 海保, 知宏, 松崎, 淳人, 小山, 文彦, 桂川, 修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本産業精神保健学会 30.03.2023
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Summary:明治維新の後,職業婦人や戦時中の女性労働力など,働く女性の力は日本を支えていたが,高度成長期には,外で働く夫を支え,家を守る「主婦」の役割が期待された.その後,若年労働者不足,家電普及による家事労働の軽減,就業意識の変化等によって,再び女性は労働力として進出し,「男女雇用機会均等法」「女性活躍推進法」が制定されたが,「主婦」の役割への期待は持続し,妊娠,出産,育児に伴う身体・環境変化の影響を強く受けるため,ワークライフコンフリクトが生じやすい可能性がある.今回,復職DC利用者データをもとに,働く女性のライフサイクル上の変化がどのように休職や復職に影響しているかを検討した.対象は2017年10月~2022年3月31日復職DC利用終了者(男性640名41.7 ± 9.6歳 女性184名35.6 ± 10.2歳)である.結果は,復職DC女性利用者は有意に若く未婚者が多かった.精神疾患に有意差はなかったが,復職率は女性で有意に低く,症状悪化例や家庭の事情等にて復職DCに来られなくなる者が有意に多かった.ワークライフコンフリクトから,ポジティブなスピルオーバー/クロスオーバーに変換していくためには,男性も女性もお互いのライフサイクル上の特徴を理解しポジティブに影響しあうことが求められる.
ISSN:1340-2862
2758-1101
DOI:10.57339/jjomh.31.1_7