高等植物の乾燥抵抗に関する研究 III クロマツ苗を中心とする乾燥抵抗の考察

この報告ではクロマツ苗の乾燥抵抗を考察し, ほかの植物の乾燥抵抗との関係を論議した. 1. 乾燥抵抗に関する簡便式はクロマツ苗において, すべての場合に適用できることがわかった. 2. 一定のクチクラ蒸 散bull;致死飽差の下で, 乾燥抵抗に対する最初の蒸散量•蒸散減少度の影響を調べた結果, その影響は少なくともクロマツ苗の場合には想像されるより著しく少ないことがわかった. 3. クロマツ苗と栽培グワの乾燥抵抗の差は, クチクラ蒸散に原因する. 4. クロマツ苗と栽培グワの乾燥抵抗•クチクラ蒸散量•最初の蒸散量•蒸散減少度および致死飽差を, ほかの高等植物と比較した.その結果クロマツ苗は乾燥...

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Published in植物学雑誌 Vol. 73; no. 865-866; pp. 269 - 277
Main Author 田崎, 忠良
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本植物学会 1960
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Summary:この報告ではクロマツ苗の乾燥抵抗を考察し, ほかの植物の乾燥抵抗との関係を論議した. 1. 乾燥抵抗に関する簡便式はクロマツ苗において, すべての場合に適用できることがわかった. 2. 一定のクチクラ蒸 散bull;致死飽差の下で, 乾燥抵抗に対する最初の蒸散量•蒸散減少度の影響を調べた結果, その影響は少なくともクロマツ苗の場合には想像されるより著しく少ないことがわかった. 3. クロマツ苗と栽培グワの乾燥抵抗の差は, クチクラ蒸散に原因する. 4. クロマツ苗と栽培グワの乾燥抵抗•クチクラ蒸散量•最初の蒸散量•蒸散減少度および致死飽差を, ほかの高等植物と比較した.その結果クロマツ苗は乾燥抵抗が最も強い植物の一つであり, 栽培クワは最も弱い植物の一つであることがわかった.
ISSN:0006-808X
2185-3835
DOI:10.15281/jplantres1887.73.269