象牙質形成におけるオステオネクチンおよびI型コラーゲンの遺伝子発現に関する研究

In situ hybridizationを用いて, マウス切歯におけるオステオネクチンの遺伝子発現を観察した。シグナルはcervical loopの水平部下層の歯乳頭細胞から検出され, predentinの形成が開始される時期の前象牙芽細胞および分泌期初期の象牙芽細胞に最も強いシグナルが認められた。分泌期象牙芽細胞のシグナルは切端部に向かい, 徐々に弱くなったが, osteodentin形成期の象牙芽細胞に再び強いシグナルが認められた。舌側の象牙質形成においても同様の結果が得られたが, シグナルは唇側のそれに比べ強かった。歯周組織ではシグナルは骨芽細胞, セメント芽細胞の他に, 歯軸に垂直方...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 36; no. 6; pp. 611 - 622
Main Authors 桑田, 文幸, 稲毛, 稔彦, 若尾, 孝一, 須之内, 勝人, 下川, 仁弥太
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 歯科基礎医学会 20.12.1994
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Summary:In situ hybridizationを用いて, マウス切歯におけるオステオネクチンの遺伝子発現を観察した。シグナルはcervical loopの水平部下層の歯乳頭細胞から検出され, predentinの形成が開始される時期の前象牙芽細胞および分泌期初期の象牙芽細胞に最も強いシグナルが認められた。分泌期象牙芽細胞のシグナルは切端部に向かい, 徐々に弱くなったが, osteodentin形成期の象牙芽細胞に再び強いシグナルが認められた。舌側の象牙質形成においても同様の結果が得られたが, シグナルは唇側のそれに比べ強かった。歯周組織ではシグナルは骨芽細胞, セメント芽細胞の他に, 歯軸に垂直方向に走行する主線維周囲の線維芽細胞に強く見られた。また, I型コラーゲンによる発現はオステオネクチンと同じ局在を示した。オステオネクチンは象牙芽細胞の分化初期における形態変化や増殖, さらに象牙質の基質形成, 石灰化および歯根膜線維のturnoverに深く関与しているものと考えられた。
ISSN:0385-0137
DOI:10.2330/joralbiosci1965.36.611