胚子にγ線を照射した家蚕の絹糸腺の成長と繭糸生産

胚子発生の後期に4,000, 8,000rのγ線を照射し, 春, 夏, 晩秋蚕期の5齢期の絹糸腺の成長と繭糸生産に与える影響を調べた。なお, 晩秋蚕期には上の線量のほかに15,000rの照射と, 蟻蚕に対する10,000, 20,000r照射を加えた。ふ化歩合には影響は見られず, 減蚕歩合は8,000r以上で高まり, 経過日数は遅延する傾向が見られ, 健蛹歩合は線量に応じて劣下していた。絹糸腺の成長には4,000r照射区は無照射区と目立った差は見られず, 8,000rになるととくに後部糸腺の成長の低下が現われた。照射線量が多くなるほど雌雄の差がちぢまり, かえって雄のほうが重くなってきた。春,...

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Published in日本蚕糸学雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 88 - 94
Main Authors 重松, 孟, 竹下, 弘夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 社団法人 日本蚕糸学会 30.04.1968
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Summary:胚子発生の後期に4,000, 8,000rのγ線を照射し, 春, 夏, 晩秋蚕期の5齢期の絹糸腺の成長と繭糸生産に与える影響を調べた。なお, 晩秋蚕期には上の線量のほかに15,000rの照射と, 蟻蚕に対する10,000, 20,000r照射を加えた。ふ化歩合には影響は見られず, 減蚕歩合は8,000r以上で高まり, 経過日数は遅延する傾向が見られ, 健蛹歩合は線量に応じて劣下していた。絹糸腺の成長には4,000r照射区は無照射区と目立った差は見られず, 8,000rになるととくに後部糸腺の成長の低下が現われた。照射線量が多くなるほど雌雄の差がちぢまり, かえって雄のほうが重くなってきた。春, 夏, 晩秋蚕期を比較すると絹糸腺の成長には3蚕期にそれぞれ特異の型が示された。生産した繭は線量の多いほど小さくなり, 繭層重も軽くなっていた。フィブロイン量はγ線照射の結果低下するが, セリシンは8,000r照射まで低下しなかった。
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.37.88