慢性下気道感染症におけるErythromycin (EM) 長期化学療法の検討 第4報: EM無効例に対するClarithromycinの有効性について

慢性下気道感染症に対するErythromycin (以下EM) 長期治療の有用性はほぼ確立されたが, EMの無効例や臨床効果の低い症例が存在する. 今回, 我々はこれらの症例に対しClarithromycin (以下CAM) を投与し, その病態の改善に有用であった症例を経験したので若干の臨床的および基礎的検討を加え報告する. 対象はEMが無効又は臨床効果が低かった4例. 疾患はDPB1例, 気管支拡張症3例, 感染菌は全例Pseudomonas aeruginosaで, EMの投与量は200-1,200mg/日, 投与期間は2年-6年9ヵ月, EMの臨床効果は無効2例, やや有効2例であった...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 66; no. 8; pp. 1097 - 1104
Main Authors 古西, 満, 増谷, 喬之, 佐野, 麗子, 澤木, 政好, 浜田, 薫, 竹内, 章治, 成田, 亘啓, 国松, 幹和, 樫葉, 周三, 三笠, 桂一, 喜多, 英二, 前田, 光一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.08.1992
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.1097

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Summary:慢性下気道感染症に対するErythromycin (以下EM) 長期治療の有用性はほぼ確立されたが, EMの無効例や臨床効果の低い症例が存在する. 今回, 我々はこれらの症例に対しClarithromycin (以下CAM) を投与し, その病態の改善に有用であった症例を経験したので若干の臨床的および基礎的検討を加え報告する. 対象はEMが無効又は臨床効果が低かった4例. 疾患はDPB1例, 気管支拡張症3例, 感染菌は全例Pseudomonas aeruginosaで, EMの投与量は200-1,200mg/日, 投与期間は2年-6年9ヵ月, EMの臨床効果は無効2例, やや有効2例であった. CAMの投与方法はCAM200又は400mg/日を1日1又は2回に分け食後経口投与した. 投与期間は最終観察時 (1992年2月) において3-8ヵ月であった. 臨床効果の判定は喀痰量とPaO2とに患者の評価を加え検討した. 結果は全例に喀淡量の減少やPaO2の改善が認められ, 患者の評価では全例EM治療中よりCAMの方が調子がよいと答えた. また, EM無効例の1例から検出されたP. aeruginosaの産生するelastase・leucocidinに対するEMとCAMの検討では, EMは両者を抑制しなかったがCAMは両者を抑制した. マウスのサイトカイン (IL2, IL-4, IFN-γ) に与える影響についての検討ではEM, CAMの28日投与マウスにおいてサイトカイン産生能の上昇が認められたが, II/2産生能の経時的変化ではCAMの方がより早期から上昇が認められた. 以上からEM無効の慢性下気道感染症に対するCAMの有用性が示唆された.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.1097