当院におけるMRSA院内感染の様相 第1報: コアグラーゼ型別による検討

MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) は, 今なお院内感染の起因菌として重要性を失っていない. 私たちは, 1989年1年間に鹿児島大学医学部附属病院において分離されたS. aureus 576検体, 1人1株として349株について, 月別・検体別・病棟別・コアグラーゼ型別に検討を加えた. 1) S. aureus576検体のうち297検体 (51.6%) がMRSAであった. また1人1株とすると349株中152株 (43.6%) であり, 他施設と大きな違いはなかった. 2) MRSAの検出部位別では, 気道からの検体が47.8%を占め最も多く, ついで膿汁, カテ先・ドレーンの順で...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 65; no. 9; pp. 1123 - 1129
Main Authors 宮之原, 弘晃, 茂幾, 明彦, 松山, 佳織, 宮田, 晃一郎, 相星, 壮吾, 西, 順一郎, 尾辻, 省悟, 吉永, 正夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.09.1991
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.65.1123

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Summary:MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) は, 今なお院内感染の起因菌として重要性を失っていない. 私たちは, 1989年1年間に鹿児島大学医学部附属病院において分離されたS. aureus 576検体, 1人1株として349株について, 月別・検体別・病棟別・コアグラーゼ型別に検討を加えた. 1) S. aureus576検体のうち297検体 (51.6%) がMRSAであった. また1人1株とすると349株中152株 (43.6%) であり, 他施設と大きな違いはなかった. 2) MRSAの検出部位別では, 気道からの検体が47.8%を占め最も多く, ついで膿汁, カテ先・ドレーンの順であった. 3) MRSAの月別検出件数, 検出患者数は, 上半期から次第に増加傾向にあり, 8月に最高となった. 一方MSSA (メチシリン感受性黄色ブドウ球菌) では増加傾向はなかった. 4) 病棟別には, 外科系病棟・ICU・小児科病棟で高頻度に分離された. 5) MRSA133株のコアグラーゼ型は, II型54.1%, VII型32.3%, IV型12.0%と偏在していたが, MSSA 147株では, VII型・II型・III型が多いものの全型が認められた. 今までの報告に比べてMRSAのVII型が多いのが特徴的であった. 6) コアグラーゼ型は, 病棟によってはいくらかの偏在が見られた. また6・7月にはII型が, 8月にはVII型の増加が見られたが, MSSAにはそれに応じた変化はなかった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.65.1123