当院におけるMRSA院内感染の様相 第2報: 薬剤感受性について
1989年1年間に当院で分離されたMRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) 123株について, MIC (最小発育阻止濃度) を測定し, またコアグラーゼ型別に検討を加えた. 1) VCM・MINO・RFPに感受性を持つ株が多く, MIC50は, それぞれ1.56, 0.39, および≦0.013μg/mlであった. 2) IPM・CLDM・CPFXには, 一部に高度の感受性を示す株が見られ, 臨床的にも有用と思われた. 3) ペニシリン系・セフェム系・アミノグリコシド系には, ほとんど感受性を示さなかった. 4) RFPに対する高度耐性株が5株認められたが, うち3株は結核病棟の患者から分...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 65; no. 9; pp. 1130 - 1135 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.09.1991
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Summary: | 1989年1年間に当院で分離されたMRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) 123株について, MIC (最小発育阻止濃度) を測定し, またコアグラーゼ型別に検討を加えた. 1) VCM・MINO・RFPに感受性を持つ株が多く, MIC50は, それぞれ1.56, 0.39, および≦0.013μg/mlであった. 2) IPM・CLDM・CPFXには, 一部に高度の感受性を示す株が見られ, 臨床的にも有用と思われた. 3) ペニシリン系・セフェム系・アミノグリコシド系には, ほとんど感受性を示さなかった. 4) RFPに対する高度耐性株が5株認められたが, うち3株は結核病棟の患者から分離されており, 容易に耐性化しやすいことが示唆された. 5) コアグラーゼII型59株, VII型42株の薬剤感受性の違いについて検討した.CLDMに対しては, 感受性域であるMIC 0.5μg/ml以下での累積百分率が, II型で15.3%, VII型で45.2%とII型に耐性菌が多く見られ, 両型間に有意差を見た (p<0.001).またEM・CPFXについても同様に, II型により耐性菌が多かった.AMKに対しては, MIC25μg/ml以下での累積百分率が, II型で89.7%, W型で9.7%と, 逆にVII型にMICが高い傾向があり, 両型間に有意差を見た (p<0.001). 化学療法の選択に当っては, コアグラーゼ型などをはじめとした, 各施設における特徴をふまえる必要があろうと思われた. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.65.1130 |