球脊髄性筋萎縮症(SBMA)に対する抗アンドロゲン療法

球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はアンドロゲン受容体(AR)遺伝子におけるCAGくりかえし塩基配列の異常延長を原因とする運動ニューロン疾患であり,伸長ポリグルタミン鎖を有する異常AR蛋白質がテストステロンと結合することによってニューロンの核内に蓄積することが病態の本質と考えられている.テストステロンの分泌を抑制するリュープロレリン酢酸塩のSBMAに対する第III相臨床試験では,主要評価項目である咽頭部バリウム残留率について,被験者全体の解析では統計学的有意差はみとめられなかったが,罹病期間が10年以内の被験者のみを対象としたサブ解析では残留率が酢酸リュープロレリン群で有意に低下したことから,発症か...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 52; no. 11; pp. 1207 - 1209
Main Authors 祖父江, 元, 田中, 章景, 坂野, 晴彦, 鈴木, 啓介, 勝野, 雅央, 足立, 弘明, 橋詰, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.52.1207

Cover

More Information
Summary:球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はアンドロゲン受容体(AR)遺伝子におけるCAGくりかえし塩基配列の異常延長を原因とする運動ニューロン疾患であり,伸長ポリグルタミン鎖を有する異常AR蛋白質がテストステロンと結合することによってニューロンの核内に蓄積することが病態の本質と考えられている.テストステロンの分泌を抑制するリュープロレリン酢酸塩のSBMAに対する第III相臨床試験では,主要評価項目である咽頭部バリウム残留率について,被験者全体の解析では統計学的有意差はみとめられなかったが,罹病期間が10年以内の被験者のみを対象としたサブ解析では残留率が酢酸リュープロレリン群で有意に低下したことから,発症からの期間が薬効に影響をおよぼすことが示唆された.早期の治療介入や鋭敏なエンドポイントの開発が今後のトランスレーショナルリサーチに重要であると考えられる.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.52.1207