膵性糖尿病患者の末梢血リンパ球サブセットの異常 T-LGL比率の低下と易感染性について

糖尿病患者は様々な感染症を合併する事が多く, また重症化しやすい.膵性糖尿病患者は, 慢性膵炎による消化吸収不良から栄養障害を来しやすく, 糖尿病および栄養障害のために免疫不全状態になっている事が予想される.今回我々は, 生体防御に深く係わっていると考えられるリンパ球機能を評価するため, 非感染時における膵性糖尿病患者の末梢血リンパ球サブセット比率をtwo-colornow-cytometry法にて測定した.膵性糖尿病患者 (n=18, 男性, 52.8±12.7歳, mean±SD) のT細胞 (66.9±9.3%, M±SD), B細胞 (13.1±5.8%), NK細胞 (19.3±8....

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Published in感染症学雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 325 - 330
Main Authors 中村, 光男, 須田, 俊宏, 保嶋, 實, 金原, 市郎, 中畑, 久, 齋藤, 芳彦, 熊坂, 義裕, 辻野, 守泰, 今村, 憲市, 工藤, 肇, 平井, 裕一, 武部, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.04.1996
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.325

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Summary:糖尿病患者は様々な感染症を合併する事が多く, また重症化しやすい.膵性糖尿病患者は, 慢性膵炎による消化吸収不良から栄養障害を来しやすく, 糖尿病および栄養障害のために免疫不全状態になっている事が予想される.今回我々は, 生体防御に深く係わっていると考えられるリンパ球機能を評価するため, 非感染時における膵性糖尿病患者の末梢血リンパ球サブセット比率をtwo-colornow-cytometry法にて測定した.膵性糖尿病患者 (n=18, 男性, 52.8±12.7歳, mean±SD) のT細胞 (66.9±9.3%, M±SD), B細胞 (13.1±5.8%), NK細胞 (19.3±8.7%) は, それぞれ健常者 (n=13, 男性, 51.2±13.1歳) のT細胞 (66.4±7.8%), B細胞 (13.5±6.7%), NK細胞 (19.9±9.1%) と比べて有意な差が認められなかった.CD3+56+T細胞は, 膵性糖尿病患者で4.1±1.9%, 健常者で6.0±3.1%であり, 膵性糖尿病患者で有意に低下していた (p<0.05). CD3+56+T細胞はNK細胞と同様な細胞障害性機能を有する.膵性糖尿病患者末梢血におけるこの細胞比率の低下は, 生体防御能低下の一因子と考えられた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.325