一次治療後に再来した顎関節症患者の臨床的観察

我々は, 第8回顎関節研究会に於いて, 顎関節症の臨床的観察を行ない, 近年少なくとも患者総数の増加傾向がみられ, 更に本症に対して保存療法を施し, 1次治療成績で約70%に良好な結果を得, 過去2回の検索と変わらないことを報告した。ところで, この経験した多数例のうちには, 従来より報告の散見される言わば再発例ともいうべき症例も含まれている。しかしながら, このような顎関節症に於ける比較的長期間を経た症例についての報告は殆どみられない。そこで今回これらの治療が終了した後, 一定以上の期間 (3ケ月以上) を経て, 顎関節部の症状を訴えて再度来院した症例を過去4年間に33例経験したので, 再受...

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Published in日本顎関節学会雑誌 Vol. 1; no. 1; pp. 122 - 128
Main Authors 山本, 昌家, 竹之下, 康治, 平野, 裕士, 嬉野, 智子, 岡, 増一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本顎関節学会 30.06.1989
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Summary:我々は, 第8回顎関節研究会に於いて, 顎関節症の臨床的観察を行ない, 近年少なくとも患者総数の増加傾向がみられ, 更に本症に対して保存療法を施し, 1次治療成績で約70%に良好な結果を得, 過去2回の検索と変わらないことを報告した。ところで, この経験した多数例のうちには, 従来より報告の散見される言わば再発例ともいうべき症例も含まれている。しかしながら, このような顎関節症に於ける比較的長期間を経た症例についての報告は殆どみられない。そこで今回これらの治療が終了した後, 一定以上の期間 (3ケ月以上) を経て, 顎関節部の症状を訴えて再度来院した症例を過去4年間に33例経験したので, 再受診までの期間, 症状の推移, 治療効果と転帰, X線像による変化, その他の検査所見などを検討した。 対象は, 昭和59年から62年の間に顎関節症にて再受診した症例33例で, 初診から再来までの期間は3ヵ月-7年間の幅がみられた。その結果, 初診時および再来時の症状については疼痛, 開口制限, 関節雑音の3項目に着目すると, 再来時症状が初診時と同じ症例20例, 軽快している症例4例, 症状の種類が変化した症例3例, 悪化した症例6例であった。治療の効果及び転帰に関しては, 完治も含め軽快し放置した症例が初診時18例, 再来時18例で最も多かった。
ISSN:0915-3004
1884-4308
DOI:10.11246/gakukansetsu1989.1.122